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ブダペスト・世界遺産都市を巡る(3)

「ブダ王宮」から「マーチャーシュ教会」へ。ハンガリーを訪れたら必ず見たい絶景

パップ英子パップ英子

2016/05/22

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観光客で賑わうディース広場の蚤の市


(c)FinoMagazin ( http://www.finomagazin.com/ )

前回まで、「王宮の丘エリア」にある「ブダ王宮」について、2回にわたってお届けしました。そのブダ王宮を背に、石畳が美しい大通りを進むと、“ハンガリーを訪れたら、必ず見ておきたい絶景”が広がる、大人気の観光スポットがあるんです。

今回からは、1987年に世界文化遺産に登録された「ブダ城地区」でも、最も人気のあるふたつの観光名所を訪れ、その散策レポートを歴史や建築様式を交えてお伝えしていきます。

前回のコラムで登場した、ブダ王宮にある「ハンガリー大統領官邸・シャンドール宮殿」。この美しい官邸を右手に、ブダ王宮に背を向けて、“セント・ジョルジ通り”を進んでいきます。

すると、このような石畳が印象的な広場(Dísz tér)が見えてきました。このディース広場のディースには、“装飾”や“美しい”といった意味合いが込められているそうですよ。写真には映っていませんが、この広場の右手後方に、観光客でいつも賑わうお土産屋さんの一帯、蚤の市があります。

彩りあふれる花の模様とレースが美しい「カロチャ刺繍」


カロチャ刺繍が施されたテーブルクロス (c)FinoMagazin ( http://www.finomagazin.com/ )

お土産屋さんがいくつも並んでいるこの場所では、ハンガリー名産の“刺繍”を吊るしてディスプレイしていて、太陽の光を反射したレースたちがキラキラと輝いていました。

色とりどりの花々が繊細に刺繍されたレース素材のテーブルクロスたち。この刺繍は、“カロチャ刺繍”と呼ばれ、その緻密で繊細な美しい刺繍は、世界中の手芸ファンの間でこよなく愛されています。

カロチャ刺繍のカロチャ(KALOCSA)とは地名のことで、“バーチ・キシュクン県”内にあるハンガリー有数の古い町です。カロチャは、“カトリック”(*)の町としても有名です。

(*)キリスト教の敬虔なカトリック信者が多く、カトリックの大教会もあります。

昔、この町や周辺の村にいる女性達が、嫁入り前のたしなみとして、家庭内で紡いできたカロチャ刺繍。しだいにカロチャ刺繍は手工業として発展し、19世紀中頃からは民芸品としての価値が一気に高まり、今日に至っています。


カロチャ刺繍が施されたテーブルクロス (c)FinoMagazin ( http://www.finomagazin.com/ )

カロチャ刺繍をはじめ、ハンガリーにある刺繍の模様にはそれぞれ意味合いがあり、昔はそのパターンや色彩から、刺繍を施した女性の身分までわかってしまったのだとか。また、刺繍のデザインには女性の喜びや悲しみといった、喜怒哀楽が表現されているんです。

日本では貴族が栄華を極めた平安時代、紫式部の“源氏物語”のなかでは、主人公の光源氏がお相手に“和歌”を詠んで恋心を伝えるシーンが度々ありましたよね。

つくり手の喜怒哀楽がデザインに反映されたカロチャ刺繍もまた、実はラブレターのような役割を果たしていたのだとか。その昔、刺繍をあしらったハンガリー女性たちは、意中の相手にその刺繍をプレゼントすることで、相手に対する想いや、いまの気持ちを伝えていたそうですよ。

中世の面影が残る美しい街並


(c)フィノマガジン/FinoMagazin( http://www.finomagazin.com )

蚤の市からまた大通りに戻ると、通りの左右両側には中世の雰囲気が漂う古く美しい建物が並んでいます。

写真左手に可愛らしいレストランが映っていますが、この建物、実はブダの王宮地区のなかでもいちばん古い建物をリノベーションして使用していたことがわかりました。

“出窓方式”が採用された15世紀のルネサンス様式の古い建物が修復され、このようにオシャレなレストランへと生まれ変わったのだそうです。

歴史の舞台となった荘厳な「マーチャーシュ教会 ( Mátyás templom)」


美しい屋根瓦に目を奪われるマーチャーシュ教会 (c)フィノマガジン/FinoMagazin( http://www.finomagazin.com )

ブダ王宮から大通りを歩くこと15分ほどで、目的地に到着しました。

その高さは約80メートル、まさに天に向かってそびえるかのような、ゴシック様式の尖塔が目を引くこの荘厳な建物は、マーチャーシュ教会と呼ばれるカトリックの大教会。美しい「ジョルナイ」(*2)タイルで装飾された屋根の瓦がとても素敵で、多くの観光客がその荘厳な光景をカメラに収めていました。

(*2)ジョルナイは、“ヘレンド”と人気を二分する、ハンガリーの代表的な陶磁器ブランド。

このマーチャーシュ教会は700年以上もの歴史があり、ハンガリー国内で最も有名なカトリックの大教会です。また、この国の歴代の国王や女王達が即位する際、戴冠式が行なわれてきた、荘厳な“聖地”でもあるんです。

歴史の舞台として知られる、由緒正しく美しい「マーチャーシュ教会」。続きは次回に、マーチャーシュ教会と隣接した、絶景が楽しめる観光名所「漁夫の砦」とともにじっくりご紹介していきます。

ぜひ、お楽しみに。

 

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この記事を書いた人

“FinoMagazin”(フィノマガジン)主宰(編集長)

ハンガリー在住コラムニスト。 食品会社でワインインポーター業務に従事した後、都内の広告代理店に転職。コピーライター、ディレクターとして勤務。百貨店やデパート、航空会社、ベビー・ブランド等のクリエイティブ広告で、インテリア製品のコピーライティング、ディレクション等を数多く手がける。 2013年、夫の国ハンガリーに移住後も育児に奮闘しながら執筆業に邁進。日本の雑誌(出版社)でハンガリー紹介記事(取材・撮影・文)を担当。また、自身とハンガリー人クリエイターとで運営するブダペスト発ウェブメディア“FinoMagazin”でもインテリアを含めたライフスタイル全般コラムを連載。美容メディアにてビューティ・コラム連載、その他、企業のWEBサイトや企画書制作、日本のTV局、広告代理店、メーカーからの依頼でハンガリー現地ロケ・コーディネート等、多岐に渡る業務をこなしている。 自身主宰のハンガリー情報WEBメディア “フィノマガジン” http://www.finomagazin.com/

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