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まちと住まいの空間 第16回【ブラタモリ/白金編その2】

旧朝香宮邸から読み取る白金が高級住宅地になった理由(4/5ページ)

岡本哲志岡本哲志

2019/12/04

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写真6、3階に設けられたウィンターガーデン

タモリさんの食いつきの良さは、大食堂の天井に塗られた漆喰の巧みさであった。ここで自宅でも漆喰を一部使っている話が出る。

タモリさんのリアクションがあまりなかった普段非公開の「ウィンターガーデン」(写真6)、白磁の噴水塔が置かれた「次室」の壁にちりばめられたプラチナ(白金)などは、スナップ写真として番組内で紹介されただけだった。番組で紹介しきれないという贅沢な選別は、東京都庭園美術館が魅力満載の建物だったからこそだ。

一方、危機を対する豪邸のポテンシャルを高めたは、やはり2階にある書斎であろうか。旧朝香宮邸の書斎でのトークがスタッフから出された重要なミッションであった。そこで聞いた話は、戦後GHQから出された「皇族の特権を廃止し、十四家の資産に課税」される危機についてだった。

宮家である朝香宮の財産税は全財産の79%だった。そうした危機に登場した救世主が首相と外務大臣を兼務していた吉田茂だった。吉田茂総理大臣は外務大臣の公邸として使うことで、旧朝香宮邸はGHQに接収されることを逃れた。

次ページ ▶︎ | ブラタモリでは放送されなかった旧朝香宮邸のもう一つの危機 

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この記事を書いた人

岡本哲志都市建築研究所 主宰

岡本哲志都市建築研究所 主宰。都市形成史家。1952年東京都生まれ。博士(工学)。2011年都市住宅学会賞著作賞受賞。法政大学教授、九段観光ビジネス専門学校校長を経て現職。日本各地の土地と水辺空間の調査研究を長年行ってきた。なかでも銀座、丸の内、日本橋など東京の都市形成史の調査研究を行っている。また、NHK『ブラタモリ』に出演、案内人を8回務めた。近著に『銀座を歩く 四百年の歴史体験』(講談社文庫/2017年)、『川と掘割“20の跡”を辿る江戸東京歴史散歩』(PHP新書/2017年)、『江戸→TOKYOなりたちの教科書1、2、3、4』(淡交社/2017年・2018年・2019年)、『地形から読みとく都市デザイン』(学芸出版社/2019年)がある。

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