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牧野知弘の「どうなる!? おらが日本」#7 これからの不動産投資で気を付けるべきこと(3/5ページ)

牧野 知弘牧野 知弘

2018/12/15

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最近では三大都市圏に加えて地方四市と呼ばれる札幌、仙台、広島、福岡も投資対象として選ばれるようになった。これらの都市はそれぞれの地方での中心都市だが、最近は同じ地方内から人を集める動きが顕著になっている。そこで発生する住宅やオフィス需要を狙った投資が活発になっているのだ。

投資対象用途の 多様化が進む
また投資マネーの一部はリゾートエリアにも向かっている。インバウンド(訪日外国人)はこれまでは東京や大阪、京都といった都市にしか足を向けてこなかったが、最近では地方都市あるいはリゾートエリアにも及んでいる。こうしたインバウンドを対象としたリゾートホテルや商業施設などに投資マネーが集まるようになっている。

沖縄のビーチリゾートや北海道、長野などのスキーリゾートに加え、温泉や景観の良い観光地にまで触手が広がっているのが実態だ。購入形態も一棟ものからコンドミニアムの区分所有権など様々だ。

また投資対象用途にも広がりが出ている。これまではオフィスや、マンションなどの住宅、商業施設などが主な投資の対象だった。これにインバウンド需要を取り込んで急成長しているホテルや、ネット販売が伸長している物流施設、増え続ける高齢者需要を狙ったヘルスケア施設などが対象として選ばれるようになった。

この動きは最近上場したJ-REITや私募ファンド、私募REITなどの投資戦略をみれば明らかだ。多くのREITやファンドで投資対象を従来のオフィス、住宅から広げる傾向にある。

これまで比較的マーケット相場が確立されてきたオフィスや住宅といった大家業的な投資対象から、オペレーショナルアセットを含むオポチュニスティックな不動産を組み込むものが多くなっているのだ。

投資対象が多様化するのは決してネガティブな事象ではない。投資家に対して様々な種類のアセットを提供してリターンを享受してもらうことは投資の醍醐味でもある。いっぽうでこれまで以上に運用会社は投資家に対しての投資に対する説明責任を求められることになることは言うまでもない。

とりわけ最近はREITを出口に想定しただけのやや乱暴な資産構成のファンドの設立もみられる。アパートや旅館、簡易宿所などへの投資はオフィスやマンションなどに比べて投資リスクも大きくなる。投資家の無知につけこむ投資対象の広がりには注意を払わなければならないだろう。

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この記事を書いた人

株式会社オフィス・牧野、オラガ総研株式会社 代表取締役

1983年東京大学経済学部卒業。第一勧業銀行(現みずほ銀行)、ボストンコンサルティンググループを経て1989年三井不動産入社。数多くの不動産買収、開発、証券化業務を手がけたのち、三井不動産ホテルマネジメントに出向し経営企画、新規開発業務に従事する。2006年日本コマーシャル投資法人執行役員に就任しJ-REIT市場に上場。2009年オフィス・牧野設立、2015年オラガ総研設立、代表取締役に就任。著書に『なぜ、町の不動産屋はつぶれないのか』『空き家問題 ――1000万戸の衝撃』『インバウンドの衝撃』『民泊ビジネス』(いずれも祥伝社新書)、『実家の「空き家問題」をズバリ解決する本』(PHP研究所)、『2040年全ビジネスモデル消滅』(文春新書)、『マイホーム価値革命』(NHK出版新書)『街間格差』(中公新書ラクレ)等がある。テレビ、新聞等メディアに多数出演。

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