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牧野知弘の「どうなる!? おらが日本」#7 これからの不動産投資で気を付けるべきこと(4/5ページ)

牧野 知弘牧野 知弘

2018/12/15

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気になるのは金利の動向


「Make America Great Again」世界各国と摩擦を強めているトランプ米大統領 画像/123RF

ではこのようにマーケットが活況を呈し、投資エリアや対象もどんどん広がる不動産投資マーケットに死角はないのだろうか。

気になるのは金利の動向だ。

すでにアメリカは今後、年数回にわたって金利を引き上げることを表明している。先進主要各国もいつ利上げを発表してもおかしくない状況にある中、日本だけが低金利のままいられるわけではない。

金利上昇は不動産の収益性を直撃するために、不動産は株式などと同様に価格下落リスクに晒されることとなる。

投資マネーの一部は不動産に利がないとみれば、オルタナティブな投資対象に切り替える、物件売却を加速させ投資金額を減らす、という方向へ向かう。とりわけ投資マネーが保有するのは都心部の不動産が多いはずであるから、都心部での不動産価格の下落は周辺不動産の価格を大きく引き下げることにつながる恐れがある。

さらに金利の上昇は相続対策や純粋投資を行っていた個人投資家層を直撃する。彼らは投資効率を上げるためにハイレバレッジな投資を行っているケースが多い。金利上昇によりアパートや賃貸マンションなどの利回りが落ち、借入金の返済に窮する投資家が出る恐れがある。

金利上昇時には不動産価格は下落に向かうので、物件売却という出口も選択しづらくなる。特にハイレバレッジで投資を行っている投資家ほど債務超過に陥るリスクが高まる。

実需の減退も不動産投資マーケットでは大きなリスクとなる。本来、賃貸不動産は実需があってはじめて収益を生み出せるものだが、節税などが目的のアパート投資や販売会社の賃料保証のみに依拠したような不動産投資を行った場合には、競争力を失った不動産から投資リスクが顕在化する恐れがある。

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この記事を書いた人

株式会社オフィス・牧野、オラガ総研株式会社 代表取締役

1983年東京大学経済学部卒業。第一勧業銀行(現みずほ銀行)、ボストンコンサルティンググループを経て1989年三井不動産入社。数多くの不動産買収、開発、証券化業務を手がけたのち、三井不動産ホテルマネジメントに出向し経営企画、新規開発業務に従事する。2006年日本コマーシャル投資法人執行役員に就任しJ-REIT市場に上場。2009年オフィス・牧野設立、2015年オラガ総研設立、代表取締役に就任。著書に『なぜ、町の不動産屋はつぶれないのか』『空き家問題 ――1000万戸の衝撃』『インバウンドの衝撃』『民泊ビジネス』(いずれも祥伝社新書)、『実家の「空き家問題」をズバリ解決する本』(PHP研究所)、『2040年全ビジネスモデル消滅』(文春新書)、『マイホーム価値革命』(NHK出版新書)『街間格差』(中公新書ラクレ)等がある。テレビ、新聞等メディアに多数出演。

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