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いつまでなら違約金なしでキャンセルできる?

マンションの売買契約をキャンセルしたい! 手付金はどうなる? 違約金は取られるの?(3/4ページ)

横山晴美横山晴美

2017/08/11

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売買契約をキャンセル!手付金はどうなる?


© hanack – Fotolia

冒頭でもお話ししましたが、売買契約を締結した後に、買い主もしくは売り主が自己都合でキャンセルした場合には、ペナルティーが課せられることになっています。

まず、買い主が自己都合で契約をキャンセルした場合、支払った手付金は「解約手付」として没収されることになっています。解約手付は手付金の一種ですが、通常、手付金を支払ったときは、この解約手付とみなされます。

つまり、契約後であっても、買い主が支払った手付金を放棄すれば、任意に契約を解除することが可能になる仕組みが解約手付で、手付流しや手付放棄などとも呼ばれます。ただし、住宅ローンの審査が通らなかったために契約をキャンセルする場合については、通常、手付金は買い主に全額返金されます。

一般的に、契約には「住宅ローン特約」と呼ばれる条項が盛り込まれていて、住宅ローンの審査が通らなかった場合のキャンセルは自己都合キャンセルとは見なされず、手付金が返還されることが定められています。

売買契約を締結する際には、契約書に住宅ローン特約が明記されているかどうかを確認するようにしてください。

売り主の都合で契約がキャンセルされた場合は?

次に、売り主の都合で契約をキャンセルした場合について見てみましょう。

解約手付と逆の性質を持つのが「手付倍返し」です。これは、契約締結後に売り主の都合で契約をキャンセルする場合、手付金と同額を買い主に支払って契約を解除するというものです。

受領した手付金も返還するため、支払い額は手付金の倍額になることから手付倍返しと呼びます。また、手付金の倍返しをすることで、売り主は契約解除の損害賠償責任を負わない、とされています。

このように、手付金は売り主・買い主の双方にとって、セーフティーネットになり得ると言えるでしょう。

手付金の額は契約によって異なりますが、物件価格の10〜20%が目安です。ちなみに、宅地建物取引業法(宅建業法)では、売り主が宅地建物取引業者である場合は、物件価格の20%を超える額の手付金を請求することはできないと定められています。

たとえば、5,000万円の物件の売買契約を締結した場合、手付金が物件価格の20%だとすると、1,000万円もの金額を支払うことになります。

このように高額な手付金を支払うわけですから、売り主(不動産会社など)が倒産するなどして、物件の引き渡しができなくなった場合には、手付金が確実に買い主に返還されるようにしなければなりません。

そのために、宅建業法で義務づけられているのが、「手付金等の保全」です。

手付金の保全とは、

・未完成物件の場合には手付金の額が物件価格の5%もしくは1000万円を超えるとき

・完成物件の場合には物件価格の10%もしくは1000万円を超えるとき

に、売り主は買い主が支払った手付金等の返還を保証する保全措置を取らなければならないとするものです。

保全措置の具体的な方法としては、「金融機関や保険会社による保証を受ける」、「指定保管機関に保管してもらう」といったものがあります。

また、手付金の保全措置が義務づけられるのは、売り主が不動産会社など宅地建物取引業者で、買い主が個人の場合に限られます。

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この記事を書いた人

ライフプラン応援事務所代表

ファイナンシャルプランナー(AFP)、住宅ローンアドバイザー。企業に属さない独立系FPとして、2013年ライフプラン応援事務所を立ち上げて以降、住宅相談を専門に扱う。マイホーム相談では保険見直し、教育費、退職後プランなど総合的な視点で資金計画、および返済計画を考案。相談業務のほか、セミナー講師、執筆業など情報発信、啓蒙活動にも力を入れている。 「自分の家計は自分で守る」をモットーに、丁寧でわかりやすい面談が好評。 また、給付金や控除など、消費者のための制度を調べるのが得意で、「ここが使いにくい」「誰のための制度なのか」などとケチをつけるのが好き。

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