40代でのマンション購入は遅い!? 40代で家を買うメリット・デメリットは?(4/6ページ)
牧野寿和
2017/08/15
「30代で購入」と「40代で購入」を比較してみると?
ここで、30歳のとき、40歳のときにマンションを購入した場合について、返済額などをシミュレーションして比較してみましょう。
購入するマンションの物件価格や住宅ローン金利は同じ条件とします。
(条件)
●マンション価格:3000万円(住宅ローンの諸経費、物件購入の諸経費は考慮しません)
●金利:年利1.0% 全期間固定金利(通常は、返済期間が短いほうが金利は低くなりますが、比較のため同率の金利としました)
●完済時の年齢:60歳
●頭金:40歳で購入する場合のみ500万円(30歳から毎月約42000円、10年間で500万円を積立てたとします)
頭金を貯める間には家賃も発生する
上の表の通り、30歳で購入した場合の総費用は約4223万円、40歳で購入した場合は約3259万円と、総費用に964万円差が出ることがわかります。
しかし、ここで見落としてはいけないことがあります。それは、マンションを購入するまでに生じる家賃負担です。
40歳でマンション購入した場合、30歳で購入する場合よりも10年間、余分に家賃を負担しなければなりません。
そこで、先ほど確認した差額の964万円を10年間分の家賃と考えると、1カ月当たり約8万円(964万円÷10年÷12カ月)になります。つまり、10年間、家賃8万円の賃貸住宅に住めば、総費用はほぼ同じになるということです。
ただし、家計の収支を考える上では、家賃として8万円を支払うだけでなく、頭金を貯めるための毎月の貯蓄額が必要になります。このシミュレーションでいえば、毎月約42000円を10年間積立てることになります。
もちろん、もっと前から頭金の準備を始めていれば、毎月の貯蓄額はこれよりも少なくなります。
また、ここでは住宅ローン金利を全期間固定型の1.0%で計算しましたが、通常は返済期間が短いほうが金利は低くなります。ちなみに40歳からの固定20年の金利を0.3%下げて年利0.7%で計算すると、利息分返済額で約95万円安くなります。
このように、金利や借入額、家賃の額といった諸条件によって、総費用は変動するため、どの年代で購入したらよいかは一概に言うことはできません。
ご自身の考え方や家計収支、家族構成によっても、ベストなタイミングは各家庭ごとに違ったものになると言えるでしょう。
したがって、ご自身と家族のライフステージに合わせて、マンションを買いたいと思ったタイミングで購入されることをおすすめします。もちろん、ゆとりある資金計画に基づいて購入されることが大切なのは言うまでもありません。
この記事を書いた人
CFP、一級ファイナンシャル・プランニング技能士
1958年名古屋生まれ、大学卒業後、約20年間旅行会社に勤務。出張先のロサンゼルスでファイナンシャルプランナー(FP)に出会い、その業務に感銘を受け、自らもFP事務所を開業。 その後12年間。どの組織にも属さない「独立系」FPとして、誰でも必要なお金のことを気軽に考えてもらうため「人生を旅に例え、お金とも気楽に付き合う」を信念に、日本で唯一の「人生の添乗員(R)」と名乗り、個別相談業務を行なうとともにセミナー講師として活動している。 また、賃貸不動産の経営もしており、不動産経営や投資の相談にも数多くのアドバイスやプランニングをしている。