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本当に「高値売却」は実現できる?

業界の裏を知る私が教える、不動産一括査定の賢い使い方(2/3ページ)

大友健右大友健右

2016/11/24

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不動産業者が「売り物件」を扱いたがる理由

実は、不動産会社にとって、「売り物件」はとても魅力的なものです。いったん物件を預かってしまえば、極端な言い方をすれば、「ただ待っているだけ」で、ほかの不動産業者が買い主を連れてきてくれます。しかも、倫理的な部分に目をつぶってしまえば、「両手取引」に持ち込んで大きな利益を上げることも可能だからです。

一般消費者は無料で使える一括査定サイトですが、当然、不動産業者は費用を負担して利用しています(一部、大手企業が自社で運営しているサイトもあります)。サイトによって料金体系には違いがありますが、査定依頼があったからといって必ず契約が取れるわけではないため、できるだけ多くの査定依頼を受けて、成約数を稼がなければならない不動産会社は、いくつものサイトを同時に利用しています。そのコストは決して小さいものではないといえるでしょう。

一括査定サイトは、便利なサービスですが、もしかしたら、そこでのコスト負担が、一部の不動産会社にとっては「両手取引」や「囲い込み」といった商習慣と決別することができない原因のひとつになっている可能性もあるのではないでしょうか。

これと同じような構図は、賃貸物件のポータルサイトについても言うことができます。その構造的な問題点については、別の記事(「ネットで部屋探し」の前に知っておくべきポータルサイトの裏側 http://sumai-u.com/?p=7271 )をご覧ください。

(参考記事)
「ネットで部屋探し」の前に知っておくべきポータルサイトの裏側

それでも一括査定サイトを利用するのなら

最後に、一括査定サイトを利用する一般消費者が、そうした負のスパイラルから身を守るための注意すべき点をお話ししておきましょう。


注意(1)  査定額は参考でしかない

査定額は、あくまでも参考程度と考えてください。不動産の価格は需給のバランスで決まります。査定額はあくまでも査定額であって、不動産業者がその値段で買い取る場合を除いては、実際の売却価格とは異なるからです。
また、査定は不動産会社の営業活動であることも忘れてはいけません。
売却案件を獲得するために、わざと高い査定額を提示する場合もあります。一括査定サイトのなかには「最高価格で売却」といった売り文句を使っているところもありますが、高い査定額を出した不動産業者が、実際に高値で売却を決めてくれる会社だとは限らないのです。


注意(2) 不動産業者からの営業に気をつける

不動産一括査定だけの話ではありませんが、査定を依頼した瞬間に、業者からの営業電話が鳴り止まずに困ってしまったという話はよく聞きます。なかには、電話ではなくメールで査定額を通知してもらえるサービスもあるので、そうしたサービスを選択しましょう。
また、しつこい営業や、強引な営業があるかもしれませんが、自分の意思をはっきり伝えることです。あまりに強引な場合は、一括査定サイトの運営会社に連絡を入れて対応を求めるのも手です。

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この記事を書いた人

株式会社ウチコミ 代表取締役 株式会社総研ホールディングス 代表取締役 株式会社プロタイムズ総合研究所 代表取締役 1972年生まれ。大手マンション会社で営業手法のノウハウを学んだのち、大手不動産建設会社に転職。東京エリアにおける統括部門長として多くの不動産関連会社と取引、不動産流通のオモテとウラを深く知る。 現在、株式会社プロタイムズ総合研究所 代表取締役として、住宅リフォームを中心に事業を展開。また、株式会社ウチコミ 代表取締役として、賃貸情報サイト「ウチコミ!」を運営。入居の際の初期費用を削減できることから消費者の支持を集める。テレビ・新聞・雑誌などメディア出演も多数。

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