ウチコミ!タイムズ

賃貸経営・不動産・住まいのWEBマガジン

本当の悪者は誰なのか?

横浜の「傾斜マンション」問題、報道されなかった事実(1/4ページ)

岩山健一岩山健一

2016/08/12

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

本当の悪者は誰なのか?

2015年10月、ある衝撃的な報道がされたことをご記憶でしょうか? 杭打ちのデータ偽装が発覚し、日本中の注目を集める大騒動となった横浜市の「傾斜マンション」問題です。

問題となったのは、横浜市都筑区にある「パークシティLaLa横浜」。2007年11月に完成した大規模マンションです。

売り主は三井不動産レジデンシャル、施工の元請けは準大手ゼネコンの三井住友建設、そして杭打ち施工の一次下請けが日立ハイテクノロジーズ、二次下請けで直接、杭打ちを施工したのが旭化成の子会社である旭化成建材でした。2016年1月には、国土交通省がこれら3社に行政処分を下しています。

一連の報道では、悪いのは旭化成建材で、データ偽装はその下請け業者である杭打ち業者が独断で行なった不法行為との見方が中心的でした。ところが、それは大きく事実と異なっていることが、その後、ある記者の調査によってわかっています。

そのときにはすでに世間の注目は事件からほかに移っており、その調査結果が報道されることはありませんでした。そのため、調査結果の詳細はここには書きませんが、旭化成建材とその下請け業者を追及するだけだったマスコミの報道は、表面的な状況を伝えているだけのものだったのです。

私は、あらゆる場で設計者、工事監理者である三井住友建設の責任について言及してきましたが、マスコミが三井住友建設の責任を追及しなかったことは不自然極まりないと、現在でも考えています。

次ページ ▶︎ | 過去にもあった欠陥マンション問題 

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

この記事を書いた人

株式会社日本建築検査研究所 代表取締役

一級建築士 建築ジャーナリスト 大学で建築を学び、NHKの美術職を経て建築業界へ。建築業界のしがらみや慣習に疑問を感じ、建築検査によって欠陥住宅を洗い出すことに取り組む。1999年に創業し、事業をスタート。00年に法人化、株式会社日本建築検査研究所を設立。 消費者側の代弁者として現在まで2000件を超える紛争解決に携わっている。テレビ各社報道番組や特別番組、ラジオ等にも出演。新聞、雑誌での執筆活動も行なう。 著書にロングセラー『欠陥住宅をつかまない155の知恵』『欠陥住宅に負けない本』『偽装建築国家』などがある。

ページのトップへ

ウチコミ!