ウチコミ!タイムズ

賃貸経営・不動産・住まいのWEBマガジン

牧野知弘の「どうなる!? おらが日本」#9 令和最大のマンションイベント「HARUMI FLAG」は買いか?(4/4ページ)

牧野 知弘牧野 知弘

2019/04/19

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

タワマンも分譲されるので国内外の投資マネーにも期待したいところだ。だが、引き渡しまで4年もかかる物件を買う投資家はほとんどいないのではないか。中古のマンションであれば、これを賃貸に回せるので3年から5年程度のタームで投資して、値上りを見込んで出口で売るというシナリオを描きやすいが、建設中の物件ではそうはいかない。東南アジアならば、開発中に買った権利を建物竣工前に売却できるので、マネーゲームを行いやすいが日本では無理な相談だ。住戸の大きさもファミリー用が中心で比較的広い面積のものになる。これは60㎡台が中心の賃貸マーケットでも「貸しづらい」物件になってしまうことも懸念されるところだ。

実需としてみても、4年後の家族像を正確に予測できる人は少数だろう。子供の成績や学校、夫婦の勤務地、収入、健康。今の世の中は不確定要素が多すぎる。こうした変動要素に目をつむって建物竣工時の「値上がり」に期待するのは、投資スタンスとしてはあまりに天に運を任せているとしか思えない。

このように考えてくると、「あえて」今、飛びついて買うような物件には思えない。昭和、平成時代のマンション買いの発想とはそろそろ決別したほうがよい。「お好きだったらどうぞ」というのがこの物件の唯一のセールストークということになりそうだ。

 

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

この記事を書いた人

株式会社オフィス・牧野、オラガ総研株式会社 代表取締役

1983年東京大学経済学部卒業。第一勧業銀行(現みずほ銀行)、ボストンコンサルティンググループを経て1989年三井不動産入社。数多くの不動産買収、開発、証券化業務を手がけたのち、三井不動産ホテルマネジメントに出向し経営企画、新規開発業務に従事する。2006年日本コマーシャル投資法人執行役員に就任しJ-REIT市場に上場。2009年オフィス・牧野設立、2015年オラガ総研設立、代表取締役に就任。著書に『なぜ、町の不動産屋はつぶれないのか』『空き家問題 ――1000万戸の衝撃』『インバウンドの衝撃』『民泊ビジネス』(いずれも祥伝社新書)、『実家の「空き家問題」をズバリ解決する本』(PHP研究所)、『2040年全ビジネスモデル消滅』(文春新書)、『マイホーム価値革命』(NHK出版新書)『街間格差』(中公新書ラクレ)等がある。テレビ、新聞等メディアに多数出演。

ページのトップへ

ウチコミ!