売れない空き家を地域コミュニティの場として活用――横浜「子安の丘みんなの家」の実践的な取り組み(2/2ページ)
田中 裕治
2022/02/07
メンバーの気持ちをまとめるために必要なこと
現在、不動産会社3名、建築家2名、建築学校の先生、料理研究家、民生児童委員会会長、小学校PTA会長、学童保育の理事、教育支援をしている一般社団法人、ケアプラザ職員、子安台エリア出身の方、地元商店会や農家の方などの方々が集まっています。
DIYは子どもたちも参加して
21年はイベントを行い、計画の周知を図ろうと考えていましたが、コロナ禍によって中止になったり、メンバーミーティングも集まりづらい状況もあり、当初より予定が遅れていますが、なんとかこのプロジェクトを成功させようと、みんなで取り組んでいます。
こうした活動を行って知ったことは、自治体による助成金などのバックアップがあるのはよいですが、コンテストに参加される空き家活用希望者がどんなに頑張っても空き家や土地の所有者の反対にあい、毎年途中で脱落してしまう団体があることです。
また、最終的に誰が責任を負うのかという点で計画が暗礁に乗り上げてしまう場合もあります。また参加メンバー間の考えの温度差もあり、そうしたメンバーの気持ちをまとめていくのは大変な部分もあります。
「子安の丘みんなの家」は、解体作業を行っている段階で、今後は皆さんと一緒にリノベーション工事を完成させ、家族食堂などの活動はこれからです。しかし、本当に大変なのはスタートしてからだと思っています。
計画の詳しい内容や進捗状況は「子安の丘みんなの家」のホームページで見ることができます。
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この記事を書いた人
一般社団法人全国空き家流通促進機構代表理事、株式会社リライト代表取締役
1978年神奈川県生まれ。大学卒業後大手不不動産会社に勤務したのち、買取再販売メインとする不動産会社に転職。その後、34歳で不動産会社を設立。創業以来、赤字の依頼でも地方まで出かけ、近隣住民や役所などと交渉。売れない困った不動産売却のノウハウを身につけてきた。著書に『売りたいのに売れない! 困った不動産を高く売る裏ワザ』『本当はいらない不動産をうま~く処理する!とっておき11の方法』などがある。