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使えない、建て替えできない……市街化調整区域の「分家住宅」の対処法(1/3ページ)

田中 裕治田中 裕治

2020/10/08

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厳しい条件に縛られた「分家住宅」

売るに売れない「マイナス不動産」には、いろいろなものがあります。その中でも行政手続きなどで苦労するため売りづらいのが、農地や市街化調整区域の土地です。中でも売却が難しいのが、市街化調整区域の「分家住宅」です。

分家住宅とは、農家などを営んでいた「本家」から分家した人が市街化調整区域に建てた家のことです。

本家・分家という言い方でもわかるように、分家住宅は誰でも建てられる家ではありません。市街化調整区域の土地を持っている所有者の子どもや孫など、分家住宅が建てられる人の条件が決められています。

具体的には、次のようになります。

・本家となる者の3親等以内の血族
・持ち家がないこと
・本家の跡取りが明確であること

など分家住宅を建てるにあたっては、厳しい条件があます。

この分家住宅は属人性が強く、使用できる「人」も限定されます。

それは、分家住宅建築の許可を受けた者、その配偶者及び直系卑属(子や孫)となります。

そのため分家住宅を売却しようとしたときには、何の手続き(用途変更の許可の取得)もしなければ、買主はその分家住宅を使用すること(居住含む)ができません(賃貸もできません)。

つまり、第三者がこの分家住宅を使用するためには行政から用途変更の許可をうけなければならないのです。この用途変更の許可には原則として売主の「やむを得ない事情」が必要となります。現金化したいという理由だけではまず許可がおりません。

また、売却する場合はそれを購入する側も、なぜその住宅を購入するのか細かく審査されるため、売買が難しい不動産になります。そのためほとんどの不動産業者は扱いを断ります。

そんな分家住宅の実例を紹介していきましょう。

次ページ ▶︎ | 実例 相続人も自由に使用できない市街化調整区域の分家住宅

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この記事を書いた人

一般社団法人全国空き家流通促進機構代表理事、株式会社リライト代表取締役

1978年神奈川県生まれ。大学卒業後大手不不動産会社に勤務したのち、買取再販売メインとする不動産会社に転職。その後、34歳で不動産会社を設立。創業以来、赤字の依頼でも地方まで出かけ、近隣住民や役所などと交渉。売れない困った不動産売却のノウハウを身につけてきた。著書に『売りたいのに売れない! 困った不動産を高く売る裏ワザ』『本当はいらない不動産をうま~く処理する!とっておき11の方法』などがある。

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