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共有名義の「農地」の売却――売るための準備と超えるべきハードル(1/3ページ)

田中 裕治田中 裕治

2020/08/14

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©︎Phuong Nguyen Duy・123RF

「農地」が売りづらいこれだけの理由

空き家問題がクローズアップされる中で、売りづらい物件、いわゆる「難あり物件」にはさまざまなものがあります。具体的には別荘、長期間放置された戸建て、再建設不可物件……こうした物件を売却するのは大変です。中でもいくつものハードルをクリアしなくてはならないのが「農地」の売却です。

農地には家を建てることができないだけでなく、買う人も限定されます。農地を買えるのは原則として、農家や農業法人でなければなりません。市街化区域以外のエリアの農地の売買にあたっては農業委員会に申請し、許可をもらわなくてはならず、売主と買主との間で自由に土地のやり取りができないのが農地なのです。

そのため農地の売買は非常に難しく、売却には時間もかかります。こうした理由も耕作放棄地として放置されたままの農地が増える原因になっているのではないかと思います。

そんな農地ですが、一定要件を備えていることで売る際に「農地」からほかの用途の土地として利用する目的で売る「農地転用許可」の手続きを取ることで売りやすくなります。しかし、これも一筋縄ではいきません。この手続き(農地法の許可申請)を行うのが行政書士の先生なのですが、行政書士なら誰でもよいというわけではなく、農地転用許可の取得には経験が必要になります。しかも、こうした手続きはローカルルールもあるため、できればその地域の行政書士の先生に依頼することが望ましいです。ただ、行政書士の先生の中には「よそ者からの依頼は受けない」という人もいて、最初のハードルは地元の経験豊富で、かつ柔軟な行政書士の先生を探すことになります。

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この記事を書いた人

一般社団法人全国空き家流通促進機構代表理事、株式会社リライト代表取締役

1978年神奈川県生まれ。大学卒業後大手不不動産会社に勤務したのち、買取再販売メインとする不動産会社に転職。その後、34歳で不動産会社を設立。創業以来、赤字の依頼でも地方まで出かけ、近隣住民や役所などと交渉。売れない困った不動産売却のノウハウを身につけてきた。著書に『売りたいのに売れない! 困った不動産を高く売る裏ワザ』『本当はいらない不動産をうま~く処理する!とっておき11の方法』などがある。

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