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コロナの雲の下にすっぽりと覆われた12カ月――2020年度分の「建築着工統計」(2/2ページ)

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倉庫が広くなる? これもコロナ禍の影響か

コロナ禍による世の中の変化をさらに別角度から示すデータも見てみよう。こちらは、住宅ではなく「民間非居住建築物」となる。このうち、まず「倉庫」を見てみたい。

倉庫の20年度の着工棟数は、1万3963棟となっている。前年度(19)の1万3765棟、前々年度(2018)の1万3789棟と、さほど違った数字にはなっていない。

しかしながら、これらの合計床面積では、面白い様子が見えてくる。

18年度 …8,625千㎡
19年度 …9,904千㎡(前年度比+14.8%)
20年度 …11,741千㎡(同+18.6%)

これをさきほどの棟数で割ってみよう。出てくる数字は1棟あたりの平均床面積となる。

(参考:2017年度 …約0.69千㎡)
18年度 …約0.63千㎡
19年度 …約0.72千㎡
20年度 …約0.84千㎡

見てのとおり、数字の伸びに2020年度は拍車がかかっている。

コロナ禍にあっては、いわゆる巣ごもり需要の増加から、倉庫・配送施設の整備など、物流分野での投資の活発化が国内外で伝えられるところとなっている。それを示す一端が、「倉庫が広くなる」というかたちで、おそらくはここにも表れている。

他方、用途別「宿泊業、飲食サービス業用」の数字を挙げてみたい。ご承知のとおり、コロナの直撃を受けている業種だ。

16年度 …着工4287棟、床面積2721千㎡(前年度比+51.4%)
17年度 …同 4848棟、同 3597千㎡(同+32.2%)
18年度 …同 4896棟、同 3544千㎡(同-1.5%)
19年度 …同 5137棟、同 3200千㎡(同-9.7%)
20年度 …同 3145棟、同 1966千㎡(同-38.5%)

ご覧のとおり、旺盛なインバウンド需要にも支えられていた16年度、17年度の数字こそすごいが、その後、投資のペースは落ち着いてきていたことが分かる。

そこに、20年度はコロナの下降気流が襲い、数字はまるでハードランディングの様相を呈するような、これまた激しい動きとなっている。

以上、国交省による、建築着工統計調査報告「令和2年度計」分から、いくつかトピックを挙げてみた。

国土交通省 建築着工統計調査報告(令和2年度計分)

 

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