住宅ローンが返済困難になったら? 家賃返済特約付き【フラット35】はこんなに使える!(4/5ページ)
横山晴美
2017/05/11
特約を活用すると返済負担はどれくらい軽減できる?
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では、家賃返済特約を活用することで、どの程度のメリットが得られるのが見ていきましょう。
先ほど、特約適用の条件のところで、返済困窮者特例措置に該当すると毎月返済額を軽減する特例措置を受けられることをご説明しました。この特例措置には、困窮度合いに応じて次の3段階があります。
(1)最長15年の返済期間の延長
(2)最長3年間の元本据え置き期間
(3)据え置き期間中の金利引き下げ
(1)に比べると(2)(3)の要件は厳しいため、ここでは適用されやすい、「(1)最長15年の返済期間の延長」の措置を受けた場合を想定して、シミュレーションしてみましょう。
【当初借り入れ条件】
借入額 3000万円 借入期間 35年
適用金利 2% 毎月返済額 9万9378円
上記の条件で、借り入れから10年が経った時点で返済が困難になったケースについて考えてみましょう。借り入れから10年が経った時点での住宅ローン残高は2344万6504円です。この時点で、本来の住宅ローン返済期間は25年ですが、10年間の返済期間延長を受けたとします。
【返済期間延長後の条件】
借入額 2344万円(※) 残りの借入期間 35年
適用金利2% 毎月返済額 7万7674円
(※1000円以下は切り捨てとします)
毎月返済額が2万円以上、軽減されました。
仮に借り上げ賃料(JTIの査定賃料)が9万円であれば、JTIの最低保証賃料(実際に受け取る賃料)は7万6500円となり、毎月返済額をほぼ賃料収入でまかなえることになります。
借り上げ賃料が9万円より低く、賃料だけでは毎月の返済額をまかなえない場合でも、不足分を補てんできるのであれば特約を利用する意味は十分にあると言えるでしょう。
この記事を書いた人
ライフプラン応援事務所代表
ファイナンシャルプランナー(AFP)、住宅ローンアドバイザー。企業に属さない独立系FPとして、2013年ライフプラン応援事務所を立ち上げて以降、住宅相談を専門に扱う。マイホーム相談では保険見直し、教育費、退職後プランなど総合的な視点で資金計画、および返済計画を考案。相談業務のほか、セミナー講師、執筆業など情報発信、啓蒙活動にも力を入れている。 「自分の家計は自分で守る」をモットーに、丁寧でわかりやすい面談が好評。 また、給付金や控除など、消費者のための制度を調べるのが得意で、「ここが使いにくい」「誰のための制度なのか」などとケチをつけるのが好き。