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ニュースの洪水のなかに埋もれている「コロナ破綻」救済のための新制度(2/2ページ)

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制度のメリット

「コロナ版ローン減免制度」には、通常の任意整理や、自己破産とは異なるメリットがある。挙げると以下のとおりとなる。

1.制度を利用しても個人信用情報が登録されない(いわゆるブラックリストに載らない)。生活や事業の再建がしやすくなる

2.弁護士など、登録支援専門家の支援を無料で受けられる

3.保証人がいても、原則保証人に対し返済は求められない

4.一定の財産を手元に残すことができる(原則99万円+差押禁止財産のほか、個別の状況に応じて考慮される可能性も)

5.自宅を手放さずに済む道を開きやすい

なお、このうち5については、住宅ローンのみ、必要ならば返済の猶予なども受けながら支払いを継続するかたちで破綻させず、それ以外のローンの減免を受けることで、負担を軽くするかたちをとることになる。コロナで家を失わないための、いわば制度の特長ともいえるスキームだろう。

ただし、債務が住宅ローンのみで、それさえ払えないとなるとやはり自宅は売るのが前提だ。そこで得た資金や、他の財産も合わせて返済に充てたうえで、それでも足りない分が減免の対象となる。

つまり、「予期せぬコロナの影響により、手持ちの財産を全て処分してもローンを返せなくなった」人に対し、破産などではなく、債務の減免や、再起の土台を組み入れたかたちでの整理をサポートしてくれるのが当制度であると考えると理解しやすいだろう。

自然災害での成立状況は約46%

なお、このコロナ版ローン減免制度は国の制度ではない。運営機関は、金融業界各団体などが参加する民間の組織だ。ただし、金融庁がオブザーバーとしてプロジェクトに加わっている。

その運営機関(前述の一般社団法人)が発表している数字によると、制度のもととなった「自然災害案件」の場合で、20年12月末時点での債務整理成立件数は538件となっている。専門家に手続支援を委嘱した1178件に対し、成立率は約46%に留まる。

一方、コロナ版での数字が今後どうなるかは予測がつかないが、約46%というこの数字については、債権をもつ全ての金融機関の同意というハードルがやや影響している可能性も窺えるものといってよいだろう。

とはいえ、当制度によるソフトランディングは、債権者にとっても、さらには債務者を取り巻く周囲の人々にとっても、破産などのハードランディングよりは好ましい。債務者の誠実な申告による利用がもちろん前提だが、コロナ版では、上記の数字がさらに増えることを期待したいものだ。

 

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