親に忖度――空気を読む子どもたち(2/3ページ)
しばはし聡子
2021/07/27
年齢による子どもへの対応
・五感で察知(乳幼児期)
今まで子育てされてきたなかで、誰しも経験があるのではないでしょうか。母親がちょっと不機嫌だったり余裕がなかったりすると、乳幼児の子どもが敏感に察知して突然泣き出したり全然寝てくれなかったりすること。声色や表情などちょっとした異変に気付くのでしょう。ましてや、パパとママが血相変えて喧嘩をしていたり、ママが時折ひとりで泣いていたりしたら、言葉は分からなくても五感で察知し不安定になることも。
乳幼児の子どもは言葉が分からないからと、目の前で言い争ったりするのは要注意。五感で察知しています。夫との話し合いは子どもが寝静まった後に別室で、そして、普段はたくさんスキンシップを取ってあげて優しく声がけをしてあげましょう。
・自分のせい?(就学前)
この年代になると、パパとママが不仲なことを明らかに認識しますが、なぜ不仲なのか理由を察知することはできず、ただただ悲しい気持ちになる子も多いようです。「僕のせい、私のせいでパパとママが喧嘩しているの?」「僕が、私がいい子になるから喧嘩しないで、ごめんなさい」と自責の念にかられてしまうことも。
不仲な理由を詳細まで伝える必要はありませんが、「あなたのせいでパパママが仲良くできないんじゃないのよ。パパもママもあなたを変わらず愛しているのよ」ということを、その年代で分かる言葉できちんと伝えてあげましょう。
・復縁に期待(小学生)
小学生低学年にもなると知恵がつき、パパとママをなんとか仲直りさせようと一役買おうとすることも。例えば、口を聞かないパパとママの手とつなげさせようとしたり、「パパ、ママにチュッてして」など言ってみたり。戸惑う場面もありますが、まだ空気を読まずになんとか仲直りさせようとする年代であれば、自分の気持ちを素直に伝えてくれます。
このような場合は、別居や離婚が確定しているのであれば、子どもが傷付く姿を見たくなくて曖昧にしてしまいがちですが、期待をさせないということも必要になってきます。
子どもにとっては酷なことではありますが、期待をして期待通りにならなかった場合には、二重にダメージを受けてしまいます。
「パパとママは一緒のおうちにいると喧嘩しちゃうから、おうちを分けて暮らすの」「パパとママは別々に暮らす方が協力できるの」など、曖昧にせずに説明してあげましょう。
さらに成長していくと、だんだん親の顔色を見て空気を読み、発言していいこと悪いことを判断するようになります。つまりは、自分の気持ちを素直に話さなくなっていくのです。誰にも相談できず、一番甘えたい親に本心を言えずに小さな胸を痛めながら悩み苦しむことになります。そのようなことにならないためにも、両親がお互いの悪口を子どもに伝えたり、相手を排除するような言動をすることは控えることが大事です。
この記事を書いた人
一般社団法人りむすび 共同養育コンサルタント
1974年生まれ。慶應義塾大学法学部卒。自身の子連れ離婚経験を生かし当事者支援として「一般社団法人りむすび」を設立。「離婚しても親はふたり」共同養育普及に向けて離婚相談・面会交流支援やコミュニティ運営および講演・執筆活動中。 *りむすび公式サイト:http://www.rimusubi.com/ *別居パパママ相互理解のオンラインサロン「りむすびコミュニティ」 http://www.rimusubi.com/community *著書「離婚の新常識! 別れてもふたりで子育て 知っておきたい共同養育のコツ」️