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「自然は最高の学びの場」を実感

だから私は田舎を選ぶ。「自然のなかで子育て」をしたくなるワケ(3/3ページ)

馬場未織馬場未織

2016/11/25

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子育て環境として、あえて田舎を選ぶワケ

子どもが「外で遊ぶ」様子として思い浮かべられるのが、安全な枠内で遊具を使って遊ぶ公園だけでなく、野山を駆けまわったり地面を掘ったり水に手を突っ込むような状態まで押し広げられたら、地元のママたちは「自分の暮らす場所は子育て環境として最高だ」と再認識するでしょう。

遊び=余暇や意味のない娯楽、勉強=点数をとる学習、という考え方であれば、確かに田舎は有名学習塾や私立学校が少なく、遅れているといわざるを得ない。

でも、短期間で効果を得ようと思わなければ、自然は最高の学びの場と考えられます。駆け回って地形を知り、ほじくって地質を知り、捕まえようと観察して生態を知り、ゲットする喜びを知り、ちょっと強く握って死なせてしまったことで命の脆さを知り、刺されたり噛まれたりして危機管理を知り、枝を振り回して破壊力を知り、濡れた土の上を歩きまくって美味しい米のできる粘土質の土というものを知り、きれいな実をいっぱい拾って染色力を知り、そのへんの竹で秘密基地をつくって構造力学を知る。

そうして、生きものとしてのリテラシーを学びながら暮らせば、それが机上の学習意欲へのフックになることがあるだけでなく、さまざまな局面で遠くまで深くまで及ぶ想像力が発揮されることになります。

田舎での子育てにもし意味があるとすれば、結局そんなところかなあと感じています。

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この記事を書いた人

NPO法人南房総リパブリック理事長

1973年、東京都生まれ。1996年、日本女子大学卒業、1998年、同大学大学院修了後、千葉学建築計画事務所勤務を経て建築ライターへ。2014年、株式会社ウィードシード設立。 プライベートでは2007年より家族5人とネコ2匹、その他その時に飼う生きものを連れて「平日は東京で暮らし、週末は千葉県南房総市の里山で暮らす」という二地域居住を実践。東京と南房総を通算約250往復以上する暮らしのなかで、里山での子育てや里山環境の保全・活用、都市農村交流などを考えるようになり、2011年に農家や建築家、教育関係者、造園家、ウェブデザイナー、市役所公務員らと共に任意団体「南房総リパブリック」を設立し、2012年に法人化。現在はNPO法人南房総リパブリック理事長を務める。 メンバーと共に、親と子が一緒になって里山で自然体験学習をする「里山学校」、里山環境でヒト・コト・モノをつなげる拠点「三芳つくるハウス」の運営、南房総市の空き家調査などを手掛ける。 著書に『週末は田舎暮らし ~ゼロからはじめた「二地域居住」奮闘記~』(ダイヤモンド社)、『建築女子が聞く 住まいの金融と税制』(共著・学芸出版社)など。

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