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「自然は最高の学びの場」を実感

だから私は田舎を選ぶ。「自然のなかで子育て」をしたくなるワケ(2/3ページ)

馬場未織馬場未織

2016/11/25

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好奇心と、関わるスキルがなければ自然はただの"背景"

でも確かに、その声はわたしの実感と一致します。

まず、野山で地元の子どもたちが遊ぶ姿はほとんど見ません。

川遊びにもってこいの時期であっても、遊んでいるのはわたしたちだけ。

ではどこに子どもたちがいるんだろうと聞いてみれば、サッカーチームや野球チームなど、都市の子どもたちと同じようにスポーツの場が確保されていることがわかります。

マクドナルドには親子連れや若者が集まって、ポケモンGOのアイテムをゲットしています。田舎も都市も変わりなく。

でもさ、きみんちの近所の川ではレッドデータブック*に載っている魚が、裏の山ではペットショップで売っている虫がいて、捕まえるとすごくうれしいもんだよ。と、わたしは思ったりするのですが、画面上の獲物には目の色を変えてもリアルな獲物にはあまり興味がないようです。

「自然環境のなかでの子育て」といっても、自然のなかで遊ぶスキルがなければ、それはワクワクした体験をもたらす状況として認識されないということでしょう。

また、これは子育てに限ったことではありません。

大人だって、自然のなかに身を置いたとき、どれだけ楽しむことができるか。

自然のディテールに興味を持つ心がないと、田舎は「きれいな空気」を吸い、「きれいな景色」を眺めたら、とりあえず1分くらいで飽きてしまいますよね。で、いそいそとバーベキューを始め、マンションの屋上でできるのと同じことをします。もちろん場所が変わればムードも変わり楽しく過ごせるわけですが、「バーベキューでもしないと間がもたない」とも言えます。

そこでもし、自然のディテールに好奇心が持てれば、きっと一段と深い楽しみを得ることができるはずです。

*レッドデータブック:絶滅危惧の恐れのある野生生物に関する保全状況や分布、生態、などの情報を記載した本

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この記事を書いた人

NPO法人南房総リパブリック理事長

1973年、東京都生まれ。1996年、日本女子大学卒業、1998年、同大学大学院修了後、千葉学建築計画事務所勤務を経て建築ライターへ。2014年、株式会社ウィードシード設立。 プライベートでは2007年より家族5人とネコ2匹、その他その時に飼う生きものを連れて「平日は東京で暮らし、週末は千葉県南房総市の里山で暮らす」という二地域居住を実践。東京と南房総を通算約250往復以上する暮らしのなかで、里山での子育てや里山環境の保全・活用、都市農村交流などを考えるようになり、2011年に農家や建築家、教育関係者、造園家、ウェブデザイナー、市役所公務員らと共に任意団体「南房総リパブリック」を設立し、2012年に法人化。現在はNPO法人南房総リパブリック理事長を務める。 メンバーと共に、親と子が一緒になって里山で自然体験学習をする「里山学校」、里山環境でヒト・コト・モノをつなげる拠点「三芳つくるハウス」の運営、南房総市の空き家調査などを手掛ける。 著書に『週末は田舎暮らし ~ゼロからはじめた「二地域居住」奮闘記~』(ダイヤモンド社)、『建築女子が聞く 住まいの金融と税制』(共著・学芸出版社)など。

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