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現代医学と漢方医学の違いは自然との向き合い方にある(3/3ページ)

杉 幹雄杉 幹雄

2020/11/03

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バランスを基本とした漢方薬の処方

現在、保険適応の漢方薬は150種類以上ありますが、こうした病態把握をしたうえで、的確な漢方薬を選び処方します。とはいえ、この処方が非常に困難です。そこでそれを容易にするためには、漢方処方を大きく分けることが必要になります。

その手引きになるのが、『傷寒論』という漢方書、「陰陽論」と「気水血理論」という考え方です。

『傷寒論』とは漢方医療を解説した医療書の中でも感染症についてまとめたもので薬草構成について書かれています。中でも重要なのは漢方薬を処方する際に崩れた臓器にバランスを元に戻すという視点です。

そこで用いられるのが「陰陽論」と「気水血理論」は、古代中国からある考え方です。

「陰陽論」とは、全宇宙に存在するものは「陰」と「陽」に分けられ、時と場所、状況や関係に応じて変化しながらバランスを取っているとするものです。そして、このバランスが崩れた状態が病気になっている状態と判断します。

「気水血理論」とは、気=生命エネルギー、血=血液、水=体液、リンパ液、水など血液以外の水分のことで、これらの3つのバランスから健康が保たれているとされます。

このように漢方医学では、常に身体の状態のバランスが取れているかを基本にしているため、診察の前に陰陽性と気血水理論を理解し、身体をとらえることが重要になります。

次回は、具体的な漢方薬の処方から垣間見える病気の姿をお話ししていきます。  

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この記事を書いた人

すぎ内科クリニック院長

1959年東京生まれ。85年昭和大学医学部卒業。国立埼玉病院、常盤台病院、荏原ホームケアクリニックなどを経て、2010年に東京・両国に「すぎ内科クリニック」を開業。1975年大塚敬節先生の漢方治療を受け、漢方と出会ったことをきっかけに、80年北里大学東洋医学研究所セミナーに参加。87年温知堂 矢数医院にて漢方外来診療を学ぶ。88年整体師 森一子氏に師事し「ゆがみの診察と治療」、89年「鍼灸師 谷佳子氏に師事し「鍼治療と気の流れの診察方法」を学ぶ。97年から約150種類の漢方薬草を揃え漢方治療、98年からは薬草の効力別体配置図と効力の解析を研究。クリニックでは漢方内科治療と一般内科治療の併用治療を行っている。

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