ウチコミ!タイムズ

賃貸経営・不動産・住まいのWEBマガジン

現代医学と漢方医学の違いは自然との向き合い方にある(2/3ページ)

杉 幹雄杉 幹雄

2020/11/03

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

現代医療と漢方医療――「病態把握」の違いはどこか?

次に現代医学と漢方医学2つの医学の病態の把握の仕方、診察の違いを比べてみましょう。

現代医学の病態把握では、検温、血圧、血液検査、尿検査、レントゲン、心電図など病気の症状に合わせてさまざまな検査を行い、その結果から「病名を決める」ということを行います。

実は、私は大きな病院での勤務医時代のとき、「病名を決める」という医師の仕事が好きでした。

どんな病気なのかを「決めること」は、その後の治療が変わるわけですから、病名を決めることは現代医学にとって最も重要なファクターです。こうした医療行為は経験が浅くても患者さんと多くの時間を共にして、表情や症状など患者さんの細部までみている主治医の勘がモノをいいます。この部分は上司の医師にも勝るということもあって、私はこの仕事が好きだったのかも知れません。

このように必要な検査を行い、病名が決まったら、次は治療です。後はその治療をしながらの経過観察になります。このプロセスが現代医学の病態把握の一般的な方法です。

一方、漢方医学は、実は現代医学と比較して病態把握の方が難しいと言えます。

具体的には、舌を診て色、苔、舌下静脈の怒張の程度を診察、脈を診て強いか弱いのか、浮いているのかといったことを診ていきます。

舌を診ることは胃腸機能の状態や身体の血や水分が多いのか、少ないのかなどの内臓の状態を把握することにつながります。脈の速さは今の身体が急性期なのか、それとも虚脈が速いのかを考える基準になります。

「虚」とは弱っている、エネルギーが少なくなっているという意味で、脈の速さなどの診察、次に身体を診察します。

次ページ ▶︎ | バランスを基本とした漢方薬の処方 

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

この記事を書いた人

すぎ内科クリニック院長

1959年東京生まれ。85年昭和大学医学部卒業。国立埼玉病院、常盤台病院、荏原ホームケアクリニックなどを経て、2010年に東京・両国に「すぎ内科クリニック」を開業。1975年大塚敬節先生の漢方治療を受け、漢方と出会ったことをきっかけに、80年北里大学東洋医学研究所セミナーに参加。87年温知堂 矢数医院にて漢方外来診療を学ぶ。88年整体師 森一子氏に師事し「ゆがみの診察と治療」、89年「鍼灸師 谷佳子氏に師事し「鍼治療と気の流れの診察方法」を学ぶ。97年から約150種類の漢方薬草を揃え漢方治療、98年からは薬草の効力別体配置図と効力の解析を研究。クリニックでは漢方内科治療と一般内科治療の併用治療を行っている。

ページのトップへ

ウチコミ!