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「病期」から見た風邪の治療法は、新型コロナとその後遺症に改善につながる(1/3ページ)

杉 幹雄

2021/02/25

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イメージ/©︎tnehala・123RF

風邪の病期とコロナ感染について

内科クリニックを開業していると多くの風邪の患者さんを診ることになります。発熱や咽頭痛などが最初の症状として多く、これが治まると呼吸器症状である咳などの症状が強くなる傾向になります。

興味深いのは、2回目の受診では「風邪が悪くなった」と受診する患者さんが多いことです。しかし、これの症状の変化は「風邪の病期」が変わって、出ている症状も変化していることに他なりません。

こうした病状の変化を漢方医学の基本書である『傷寒論』に照らし合わせると、最初は「太陽病期」という風邪の初期症状である発熱や咽頭痛で受診に来られ、改善せずに次に診察に来られたときは「少陽病期」という次の段階になっているケースがほとんどです。

そこで今回は「風邪の病期や症状」について、次に「なぜ風邪は万病の元といわれるか」、そして「病期からとらえた新型コロナと後遺症」についてお話を進めたいと思います。

『傷寒論』が指摘する風邪の病期

漢方医学の基本書である『傷寒論』の三陰三陽論では、病期(病気の症状)を図のように6つに分けています。この病期を陰陽で分けると「陽病(表/体表部)と陰病(裏/臓器、消化器)」に分けることができます。

陽病(表)は「太陽病・少陽病・陽明病」の3つの分類になり、陰病(裏)は「少陰病・太陰病・厥陰病」の3つの分類になります。図はこの病期の関係を単純化したものですが、それぞれの病期の状態は次のような状態になっています。

【陽病(表)】
○太陽病期:体表部に熱がある状態
○少陽病期:体内臓器(主に実質臓器)に熱がある状態
○陽明病期:体内臓器(主に管腔臓器)に熱がある状態

【陰病(裏)】
●太陰病期:体表部が弱っている状態
●少陰病期:体内臓器が弱っている状態
●厥陰病期:全身が弱っている状態

基本的には風邪の初期の太陽病期から始まり陽病の熱が全身に行き渡り、それに耐えられなくなると、陰病へと進行し身体が虚し(弱ってエネルギーがなくなり)体力を消耗し、死に向かっていくことになります。

現代医学での一般的な慢性病は少陽病期に属する病態が多く、食生活が豊かな現代社会を反映していると言えます。一方、平均寿命が短かった明治以前や、戦時下、飢餓・貧困といった社会情勢では、食生活が良くないこともあり、陰病が多かったのではないかと思われます。

このように時代や社会情勢によって、発病しやすい病気のかたちが異なるのが普通です。

次ページ ▶︎ | 臨床での風邪の病期の捉え方 

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この記事を書いた人

すぎ内科クリニック院長

1959年東京生まれ。85年昭和大学医学部卒業。国立埼玉病院、常盤台病院、荏原ホームケアクリニックなどを経て、2010年に東京・両国に「すぎ内科クリニック」を開業。1975年大塚敬節先生の漢方治療を受け、漢方と出会ったことをきっかけに、80年北里大学東洋医学研究所セミナーに参加。87年温知堂 矢数医院にて漢方外来診療を学ぶ。88年整体師 森一子氏に師事し「ゆがみの診察と治療」、89年「鍼灸師 谷佳子氏に師事し「鍼治療と気の流れの診察方法」を学ぶ。97年から約150種類の漢方薬草を揃え漢方治療、98年からは薬草の効力別体配置図と効力の解析を研究。クリニックでは漢方内科治療と一般内科治療の併用治療を行っている。

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