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サラリーマンでも生前対策が必要か?

持ち家に住んでいる人はより注意(3/5ページ)

井出光紀井出光紀

2018/07/18

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・敷地を取得した方が外国籍や外国に住所がないこと
 
・亡くなった方に配偶者がいないこと
 
 ・亡くなった方に同居していた親族(相続権がある方)がいないこと

 ・亡くなる日から3年以内に敷地を取得した方(その方の配偶者も含む)自身の持ち家に住んだことがないこと

 ・敷地を相続税の申告期限(亡くなってから10か月)まで持っていること
(これは俗にいう「家なき子」の取り扱いだ)

◆相続で取得した不動産を売却した場合

亡くなった方の自宅を相続した方がその自宅を売却した場合には、売却により生じた利益に対して所得税の負担が生じる。

所得税の計算は原則、全ての所得を合算して税率をかける方法(総合課税)をとっているが、土地建物の売却については他の所得とは切り離して別個で税率をかける方法(分離課税)となっている。

負担することとなる税額の計算は、

自宅の売却により生じた利益× ※税率(所得税15%+住民税5%の合計20%) (別途、復興特別所得税0.315%)

※税率は亡くなった方が自宅を手に入れた日から売却日の1/1までで5年超の場合を前提

となり、自宅の売却により生じた利益の計算方法は下記の通りとなっている。

売れた金額-(亡くなった方の購入金額+売却にかかった経費)

この式のうち、亡くなった方の購入金額については、
これらの特例が設けられており、
① 亡くなった方の購入金額がわからない場合…売れた金額の5%として計算できる
① 亡くなってから3年10か月以内に売却している場合…支払った相続税の一部を加算する(①と併用可能)

①については実際の購入価額がわかる場合でも有利な法で計算してよいことになっている。


そして、他にも税額を安く計算できる制度が設けられている。亡くなった方の自宅の利用状況に応じて使える制度が異なるため、それぞれ紹介すると、

【その自宅に引き続き住んでいた場合】

① 3,000万円の特別控除
 
上記の自宅の売却により生じた利益より3,000万円を控除できる

この規定の適用については所有期間に制限がない。
(買ったばかりで亡くなった場合でも適用できる)

ただし適用にあたり、前年及び前々年にこの規定の適用を受けていないこと等の要件がある。

① 軽減税率

上記の自宅の売却により生じた利益のうち、6000万円以下の部分が所得税10%、住民税4%、合計14%の税率で計算できる(別途、復興特別所得税0.21%)

(6000万円を超える部分は、所得税15%、住民税5%の合計20%)
(別途、復興特別所得税0.315%)


この規定の適用については、亡くなった方が自宅を持った日から売却した年の1/1までの期間が10年超の場合のみ適用できる。
また、①と併用が可能。


※上記①②の適用を受けた場合、住宅ローン控除の適用を受けられなくなる。
 適用を受けた年の翌年、翌々年まで住宅ローンを組んでも控除を受けられないため、
 現状住宅ローン控除を受けている場合、これから受ける予定がある場合は上記とどちらの適用が得か注意が必要

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この記事を書いた人

税理士

専門学校で簿記に触れ、税理士を志す。 平成25年より会計事務所に勤務し、平成28年税理士資格取得。 現在は会計事務所の所属税理士として勤務している。 人工知能に置き換えられない、提案型の税理士を目指し、 中小企業の顧問から資産税までさまざまな業務に携わっている。

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