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「儲かる不動産投資の教科書」著者、和田一人さんに聞く

利回りは信じるな! 累計投資額1000億円の不動産投資のプロ、和田一人さんが語る価値ある物件の見分け方(4/4ページ)

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プロは「賃料単価」の高い物件に目をつける

——なぜ地方の物件のほうが経費率が高くなるのですか? 東京のほうが、いろいろなコストが高いように思いますが。

和田:それは、東京と比べて地方では、1坪当たりの賃料収入である「賃料単価」が大幅に低いからです。賃料単価とは、賃料を貸床面積で割って算出したものです。これが高いほど、収益性が高いと言えます。

たとえば、賃料単価が1万円の物件Aと、賃料単価が5000円の物件Bがあったとしましょう。賃料単価が半分だから物件Bの諸費用は半分になるということはあり得ず、1坪当たりで言えば同程度の費用が発生するのが現実です。

すごく簡単に言ってしまえば、物件Aと同じ賃料収入を得るためには、物件Bは2倍の坪数が必要になりますから、諸費用も2倍かかるということです。

そして、地方になればなるほど賃料単価は安くなるため、賃料単価に対して諸費用が占める割合、つまり経費率が高くなるのです。

——プロは、賃料単価の高い物件に目をつけるということですね。賃料単価の目安はどれくらいと考えればいいのでしょうか?

和田:詳しい説明は省きますが、賃料単価1万円というのが理想です。東京都内や神奈川県の一部では、1坪1万円の賃料が取れるところがあるのですが、首都圏であっても23区外や千葉、埼玉となると、それだけの賃料単価を取るのはむずかしいのが現実です。新築時点で賃料単価8000円をひとつの指標にしておけば失敗しにくいと言えるでしょう。

結局、賃料単価が高い物件は、土地の価値が高いのです。たとえば、土地と建物を合わせて1億円の物件があったとしましょう。建物が老朽化して、価値がゼロになったときに、土地の価値として6000万円が残るのか3000万円が残るのかによって「資産の再現性」が大きく変わってきます。

この業界でビジネスを続けてきてしみじみ思ったのは、世の中の不動産は「資産の再現性がある不動産」と「資産の再現性のない不動産」のふたつに分類できるということです。

資産の再現性がある不動産とはどんなものか一言で言えば、「購入してそこに新築の建物を建てても採算が合う土地」のことです。不動産投資で成功するためには、この資産の再現性にこだわることが非常に重要なのです。

どんな建物でもいつかは朽ち果て、新たに建て直されるものです。詳しくは、私の著書を読んでいただきたいところですが、その際に、どのような手立てを講じても建物を新たに立て直した場合に採算が合わなくなる土地が少なからず存在します。このように収益性が損なわれてしまう物件こそ、資産の再現性がない不動産です。

(参考記事)
不動産投資で総資産10億円超! メガ大家さんが破綻する日

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不動産投資で成功するには、「資産の再現性」にこだわるべき

——投資額を回収できる見込みがない不動産ということでしょうか。

和田:先ほどの賃料単価が1万円の物件Aと、賃料単価が5000円の物件Bを例に考えてみましょう。先ほどもご説明したように、物件Aと同じ賃料収入を得るためには、物件Bは2倍の坪数が必要になります。仮に土地価格が同じで物件Aと同じ賃料収入が得られる新築に立て直すなら、物件Bは物件Aの2倍の建築費がかかることになります。

であれば、賃料収入が同じなのに、物件Bは2倍の投資額が必要ということで、当然、利回りは半減してしまいます。

つまり、物件Aは資産の再現性がある不動産で、物件Bは資産の再現性がない不動産ということです。

不動産投資で成功するには、資産の再現性がある物件にこだわるべきという理由がおわかりいただけるのではないでしょうか。

——表面利回りに惑わされず、価値のある物件を選び抜くことが大切ですね。

和田:不動産投資においては、物件の評価に関する勉強が非常に重要です。「不動産投資は株とは違って、価値がゼロにはならない」と言います。たしかに不動産の価値はゼロにはなりませんが、投資の成果としてはゼロどころかマイナスになる可能性もあります。

(参考記事)
頭金ゼロで不動産投資を始めた人の末路

ローンの返済が滞って競売にかけられてしまい、物件を売っても借り入れを返済できず、不動産を失った上に借金だけが残るということもあり得るのです。

そんな最悪のケースに陥らないために、評価の方法をしっかり学び、失敗しないように慎重な投資、慎重な物件選びを心がけてください。

私の著書が、不動産投資を志す人たちにとって、成功を勝ち取るための道しるべとなれば、それに勝る幸せはありません。

今回のこの人は…
和田一人(わだ・かずと)

キャピタル・アドバイザリー株式会社不動産投資部長

世界有数のコンサルティング会社であるKPMG FASで、破綻金融機関の資産査定における不動産評価の責任者として評価基準の作成、評価指導に当たる。その後、不動産ファンド会社でアセットマネジャーとして頭角を現し、上場不動産ファンド会社アセット・マネジャーズ(現いちごグループ)にて収益不動産の投資責任者を務める。累計1000億円以上の投資実績を有し、鑑定評価を含む評価実績は1万件以上を誇る「不動産評価」のプロ。収益不動産投資、仲介、M&Aを行なうほか、個人へのコンサルティングも手がける。

「儲かる不動産投資の教科書」

和田一人 著

2016年2月刊行
定価 本体 1,500円+税
四六判 並製 192ページ
ISBN 978-4-5940-7432-6
発売 扶桑社

 

 

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この記事を書いた人

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