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「儲かる不動産投資の教科書」著者、和田一人さんに聞く

利回りは信じるな! 累計投資額1000億円の不動産投資のプロ、和田一人さんが語る価値ある物件の見分け方(3/4ページ)

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プロは「ネット利回り」と「自己資金利回り」を見る

——利回り40%という数字を信じて投資してしまったら大変なことになりますね。

和田:このケースからわかるように、表面利回りが高いからといって、実際の利回りまでが高いとは限りません。表面利回りは見かけ上の数字にすぎず、「真の利回り」ではありません。

真の利回りとはどういったものかについては、私の著書のなかで詳しく解説しているのでそちらを参考にしていただきたいのですが、利回りを見るのなら、基本的には表面利回りは無視して、「ネット利回り」と「自己資金利回り」で判断されることをおすすめします。

ネット利回りは、別名「実質利回り」とも呼ばれるもので、諸費用も踏まえて計算した利回りです。不動産業界では「年間の賃料収入—費用」は「NOI(純利益)」と呼ぶことから「NOI利回り」と言われることも多いです。

自己資金利回りは、賃料収入から諸費用だけでなくローンの返済額も差し引き、手元に残るお金をもとに計算する利回りで、利回り関連の指標のなかで私がもっとも重視しているものです。

「自己資金」とは、物件を取得する際に自らが負担したお金で、総取得費(物件価格+諸費用)からローンで調達した分を差し引いたものです。自己資金利回りは、「レバ後NOI利回り」「キャッシュオンキャッシュリターン(CCR)」「エクイティ利回り」とも呼ばれます。

ちなみに、不動産投資の入門本などでは、よく「諸費用は賃料収入の30%と程度と見積もる」と書かれていますが、プロが投資をする際にはそんなことは絶対にしません。必ず、過去の実績に基づいた正確な数字を使ってシミュレーションするか、自分たちの評価基準に基づいてシミュレーションしています。

東京の物件と地方の物件、どちらがおすすめ?

——たしかに、「費用=30%」と一律に決めてしまうのは乱暴ですね。実際には物件によってどれくらいの差が出るものなのでしょうか?

和田:正確には、それぞれの物件の実績に基づいた数字を出さなければわかりません。ただ、大まかな話をすれば、たとえば東京の物件と地方の物件を比べた場合、東京の物件における経費率は15〜20%で、地方の物件の場合は30〜40%となります。

仮に東京の物件の表面利回りが8%、地方物件の利回りが10%だった場合、この経費率を考慮したネット利回りはどうなるでしょうか?

それぞれ20%と40%の経費率の分だけ割り引いてみると、東京が6.4%、地方が6%という結果になります。ネット利回りで比較すると、実はどちらも同程度の収益性だということです。言い換えれば、表面利回りが同じなら、東京の物件のほうがネット利回りは高くなるわけです。

よく、「東京の物件と地方の高利回り物件のどちらがおすすめか」という質問を受けますが、表面利回りのトリックがわかれば、地方よりもはるかに需要が高い東京の物件を選んだほうが有利だと考えられるでしょう。

「首都圏の物件は利回りが低くて手元にお金が残らない」と、表面利回りが高い地方物件を売り込む不動産会社が少なくありませんが、表面利回りのトリックに騙されないようにしてください。

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