不動産投資で総資産10億円超! メガ大家さんが破綻する日(3/3ページ)
ウチコミ!タイムズ編集部
2017/01/17
アパートローンはこれから借りにくくなる!?
さらにもうひとつ、見逃すことのできない動きがあります。実は、今後、不動産投資への融資審査が厳しくなるかもしれないのです。
相続対策や超低金利を背景に新しいアパートが次々と建設され、首都圏のアパートの空室率が大きく上昇していることが、その背景にあります。
現在、アパートローン(個人向けのアパート建設資金の融資)が急拡大する一方で、首都圏の空室率が上昇しており、賃貸市場は完全な供給過剰に陥っている可能性が否めない状況なのです。この背景については、別の記事(「相続税が上がると、なぜ空室率が上がるのか?」 http://sumai-u.com/?p=5440 )に詳しくありますので、ぜひご覧ください。
(参考記事)
「相続税が上がると、なぜ空室率が上がるのか?」
また、多額の融資を受けて不動産投資を始めたものの、思うように収益が上がらず、最終的には自己破産してしまう個人投資家が後を絶たないとも言われています。こちらの事情については、別の記事(「頭金ゼロで不動産投資を始めた人の末路」 )をご覧ください。
(参考記事)
「頭金ゼロで不動産投資を始めた人の末路」
こうした状況を受け、日銀・金融庁が、アパートローンの実態把握に乗り出したという報道が昨年末にあったのをご存知でしょうか。
そこには、安易な融資が行なわれることでアパートローンが不良債権化しないよう、不動産投資向けの融資に、ある程度のブレーキをかける狙いがあると考えられます。
実際に編集部がある金融機関の融資担当者に確認したところ、「2017年以降、融資審査が厳しくなる可能性が高い」という回答を得ています。
仮に、融資審査がより厳格に行なわれるようになれば、上述したような自己破産する個人投資家も減っていくはずです。しかし、これから不動産投資を始めようと考える人にとっては、投資のハードルが上がることになるのは間違いないことと思われます。
いまは不動産投資を始めるべきではない
ここまで見てきたように、いま不動産投資を取り巻く環境が変わりつつあります。改めてまとめると、ポイントとなるのは大きく3つです。
(1)投資物件の価格が下落トレンドに転じた可能性があります。しかし、まだまだ価格としては高い水準にあり、収益性を考えるとおすすめできる物件はほとんどない状態です。
(2)加熱する不動産投資ブームを受けて、今後、不動産向けの融資が絞られる可能性も出てきています。
(3)さらに、東京オリンピックが開催される2020年以降、都心部でも不動産価格が大きく下落する可能性が非常に高いと考えられます。
こう考えると、不動産投資を取り巻く環境はこれから年を追って厳しくなっていくのではないでしょうか。
にもかかわらず、前出の投資家のもとには、多くの人が「投資物件を購入したい」「この物件を買っても大丈夫だろうか」と相談に訪れると言います。
しかしながら、現在は、不動産投資を始めるタイミングとしては決しておすすめできる状況ではないと考えられます。
むしろ、すでに不動産を多く保有している個人投資家にとっては、東京オリンピックまでの期間に、どれだけ収益性の低い投資物件を売り抜くか、また、いかに不動産以外の投資先に資産を振り分けるかに命運がかかっていると言っても過言ではないかもしれません。
これから不動産投資を始めたいとお考えの方は、物件を購入したい気持ちをぐっと抑えて、東京オリンピックが終了するまで静観することをおすすめします。
(参考記事)
「頭金ゼロで不動産投資を始めた人の末路」
「相続税が上がると、なぜ空室率が上がるのか?」
「不動産投資が成功するか失敗するかは、始めるタイミングがすべてです」
この記事を書いた人
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