こんな場所に賃貸物件を建てたら失敗確実? ポスティングスタッフが貴重な証言(1/2ページ)
2022/07/08

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ポスティングスタッフは見ていた!
一定の範囲のエリア——例えば、ある駅から徒歩20分くらいまでの賃貸物件ならば、数がどれだけあろうと、そのほぼ全てに出向いたことがある……。
しかも何年もかけてではない。たったのここ数カ月の間に……!
つまり、その人はそれらの物件にいまどのくらいの空室があるのかをほぼ見てきている人、ということになるのだが、そんな人が存在するのだろうか?
……いるのだ。それは、広告会社のポスティングスタッフだ。彼らは、1エリア当たり1000~2000程度の数におよぶ郵便受け=ポストを2~3日かけて回り切る(一例として)。
担当エリアが10あれば、ポストの数は軽く1万を超えることになる。一戸建て、分譲マンション、オフィスビル、商業ビル、さらにアパートや賃貸マンションも、当然その中に含まれる。(ただし、ごく僅かながらさまざまな理由で対象外となるポストも存在する)
賃貸物件の空室は、ポストを見るとその存在を概ね知ることができる。投函を避けるためのテープやシールが、管理会社などの手によって通常は貼られているからだ。あるいは、古い郵便物やチラシがいつ訪れても詰まったままだったりする。
そこで、そんなポスティングスタッフの仕事を運動不足の解消がてらこの春から始めたというAさん(熟年男性・首都圏にお住まい)に、今回いくつかの質問をぶつけてみた。
返ってきたその答えは、賃貸住宅オーナーや、これから賃貸経営を始めたいと思っている人にとって大変役立つものだ。ぜひ参考にしてほしい。
まだピカピカな築浅物件でも苦戦! 最も空室が目立つ物件とは?
最初はこの質問だ。
——最も空室の目立つ物件とはどんな物件ですか?
つまり、「こんな物件を建てたり買ったりしたら、高確率で賃貸経営に失敗する」ともいえるものなのだが、Aさんによると、見事なくらいに共通するパターンがあるという。それは——?
「道路です。目の前の道路が非常にうるさい物件です。建物に接する車道を車がひっきりなしに行き交い、朝から晩まで――場合によっては24時間、タイヤやエンジンの音が鳴り響いているような場所に建つ物件です。20室くらいのアパートで、埋まっている部屋が6つくらいしかない……とか、築後間もないきれいな賃貸マンションなのに、3分の1以上が空室……といった異様な物件を見て私も驚くことがあるのですが、多くがこのパターンです。しかも、こういった立地で建物が古いとさらに大変です。無人の廃墟か、それに近い状態になっていることもあったりします」
では、鉄道はどうなのだろう? 線路沿いも朝から夜までうるさいロケーションであることに変わりはないが……?
「面白いことに、うるさい道路沿いに比べて線路沿いでははっきりした傾向が感じられません。もちろん、入居者募集に不利なことは間違いないでしょう。ですが、それよりも建物の古さなど、ほかの条件による影響の方が強い印象です。電車の走る音や踏切の警報音は、車の音と違って音色や音量が一定です。また、運行時間外は必ず止むので、慣れて気にならなくなる方も多いのかもしれません」
この記事を書いた人
編集者・ライター
賃貸住宅に住む人、賃貸住宅を経営するオーナー、どちらの視点にも立ちながら、それぞれの幸せを考える研究室