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「駅徒歩分数」に騙された!? 不動産広告の駅徒歩分数の見方をおさらい(2022年9月の規約・規則改正にも準拠)

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イメージ/©︎cpoungpeth・123RF

駅徒歩分数に騙された!?

賃貸住宅はじめ、不動産広告に表示される駅徒歩分数。ときどきこれに「騙された!」という人がいる。 

聞けば、「実際引っ越してみたけど、広告に書かれていた分数ではとても駅まで着かないよ。もっとかかるよ~」……なるほど。では、そんな風にボヤくことになった原因は何なのか? この記事では、不動産広告の駅徒歩分数を見るときの大事なポイントについておさらいしていくことにしよう。 

なお、先般、不動産取引を行う事業者が必ず守らなければならない「不動産の表示に関する公正競争規約」および「同・施行規則」が改正されている(本年9月1日より施行)。駅徒歩分数の表示に関わる部分での変更も生じているため、以下、必要な箇所ではそのことも添えていきたい。

<参考>

基本の決まりごと「80m=1分」の定め

まずは基本だ。よく話題にもなるため知っている人も多いだろう。不動産広告では、駅徒歩分数は先ほどの施行規則により、以下のとおり算出し、表示するように定められている。

「80m=1分」
(道路距離80mにつき1分間を要するものとして算出した数値を表示すること)

なお、道路距離と明記されているとおり、ここでの距離は物件と駅とを結ぶ直線距離ではない。実際に人が歩く道のりを測った(少なくとも正確な地図上で)距離としなければならない。さらに、80mを少しでも超えれば時間の方は繰り上げとなる。つまり、85mであれば表示は2分、165mであれば3分となるわけだ。すると、駅から80mも離れていない場合はどうなるか? 0分でいいのか? もちろんそうはならない。例えば駅から50mの物件であれば、やはり繰り上げが適用され「1分」となる。

「駅遠」になるほど誤算が生じやすい

そこで、冒頭の「実際引っ越してみたけど、広告に書かれていた分数ではとても駅まで着かないよ」の声だ。こうした声はズバリ、駅から遠い物件ほど聞かれやすくなる。なぜだろう?

答えは、物件と駅との距離が離れれば離れるほど、その途中に“障害”が現れる可能性が増すからだ。障害とは、実際にそこを歩くための時間を増やす原因・理由となるもののことをいう。例えば、信号や踏切、歩道橋、地下道といったものがこれにあたる。

これらは、道路距離とは関係なく、人々の歩行をその場で止めたり、スピードを鈍らせたりしてそのたび時間を奪う。駅徒歩5分くらいまでの物件に比べ、15~20分以上といったいわゆる駅遠物件だと、これらに出合う確率がその分増えるため、駅遠がますます駅遠になることがある。ぜひ注意したい。

坂道も考慮されない

さらに、坂道も「80m=1分」の計算では考慮しなくてもよい(地図上は平面になるのでその長さのまま計算)。物件と駅との間に存在する坂道の影響により、歩く時間が延びたり、行きと帰りで大きく違ったりすることがあっても、不動産広告の駅徒歩分数表示はそれを語ってはくれないのだ。起伏の多い地域では特に注意しておきたいポイントだ。

物件の規模が隠れたネックに?

冒頭にふれた9月1日施行の規則改正によって、駅徒歩分数を算出する際の「物件側の起点」については、「マンション及びアパートにあっては、建物の出入口」とする旨が明文化された。つまり、逆にいえばこれまでは出入口に起点を限らずともよかったことになる(そうするよう指導はされていたが、規則上明確ではなかった)。

そのため、大きなマンションの場合など、建物や敷地のうち、もっとも駅に近い場所に起点がおかれたうえで、実際の出入り口(メインエントランスやサブエントランス)まではそこから距離があるケースもいまのところ見られないわけではない。注意しておこう。

駅の入り口は近くとも電車に乗るまでは遠い…よくあるワナ

「駅がターミナルなので大規模」「地下鉄駅の出入り口から改札、ホームまでの距離がとても長い」……そんな理由から、「駅徒歩分数は確かに5分の表示で正しい物件だけど、実際には発車の10数分前には家を出て、早足で歩かないと間に合わない」などというのも、駅徒歩分数でのよくある誤算だ。 

ちなみに、9月1日施行の規則改正では、駅徒歩分数における駅側の「着点」は、「駅の出入口であり、利用時間内において常時利用できるものに限る」旨があらためて明記された。これまでも同様の指導はされており、多くの不動産広告はこれに従っていたはずだが、規則上は明確ではなかったのだ。

とはいえ、「出入口が着点」であれば、上記の誤算が今後も起こりうることに変わりはない。ぜひ気を付けたい。

本当に「騙す」不動産会社も残念ながら存在する

以上のほか、残念ながら不動産広告の駅徒歩分数を偽る事業者もわずかながら存在する。つまり、こちらは本当の意味での「騙された!」だ。

例えば、物件と駅との間に大きな幹線道路が横たわっているようなケースだ。本来ならば、横断歩道や歩道橋のあるところまで迂回する分の距離を徒歩分数に加えなければいけないところ、それをせず、道路を突っ切ったかたちで計算してしまう。こうしたロケーションでは、横断歩道を渡るための信号も車優先のため、やたらと「赤」の時間が長かったりするので、騙されると被害は深刻なものとなりやすい。

あるいは、もっと直截に「この物件、80m=1分だと11分になってしまう。10分にしておけ」などと、数字を丸めてしまう業者もいる。なお、このケースでは彼らは不動産ポータルサイトの検索条件を気にしていることが多い。

例えば、あるサイトの条件を見ると、駅徒歩分数は「1分以内」「5分以内」「7分以内」「10分以内」「15分以内」「20分以内」「指定なし」と分かれている。つまり、徒歩11分の物件は「10分以内」の条件では検索してもらえない。16分の物件は「15分以内」では検索してもらえないのだ。これは、不動産会社や賃貸住宅オーナーの側にとってはかなり辛いハンディとなるため、ついついやってしまうケースも、なかにはあるということになる。




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この記事を書いた人

編集者・ライター

賃貸住宅に住む人、賃貸住宅を経営するオーナー、どちらの視点にも立ちながら、それぞれの幸せを考える研究室

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