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『新型コロナウイルス』が賃貸経営にもたらす影響は? 〜緊急開催! オンライン大家座談会〜(3/5ページ)

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長期化するコロナ禍。オーナーにできること

――オーナーとして入居者の状況は把握しておきたいですよね。マスクを配るというオーナーの気遣い、とても嬉しいと思います。今後、コロナ禍が長期化することも考えられますが、オーナーとしてできることはあると思いますか?

 

加藤オーナー:自分は、こんな状況なんですが物件を買い増ししています。さっき話にも出たんですが、住み替え、ダウンサイジングの引っ越し需要があると考えていました。実はそのために購入した築古物件で、空室だった2部屋もすぐに入居が決まったんです。話を聞くとやはりダウンサイジングのためということでした。入居者さんが住み替える部屋を提供できるようエリアや、賃料を考え行っています。

 

松浦オーナー:私も不動産会社から、都心部は動かないが、地方は動いていると聞いています。やはり3密を避けるためには地方の方がいいですよね。これから地方に移り住む方も多くなるのではないでしょうか。

 

加藤オーナー:その通りだと思います。これだけテレワークが行われている中で通勤もなくなり、実際にテレワークをしている方の6割はこのままテレワークをしたいと言っていると記事で見ました。今後、働き方改革もあり会社も変わっていくと思います。出社、通勤という概念がなくなるかもしれませんね。

廣田オーナー:そうですね。あの満員電車での通勤には戻りたくないですね(笑)。

個人的には、都心から1時間〜1時間半くらいのエリアが有力かな、と思います。全く出社がなくなるわけではないと思うので。例えば、東京都心に会社があるのであれば、神奈川県の小田原市あたりとか…。海があって、山があって生活するにはいい環境です。今後は、ライフスタイルの変化で人気のエリアも変わっていくと思います。それに伴って、都心の狭小住宅は廃れていくのでは、と思います。テレワークするのに狭小住宅では大変ですよね。

 

松浦オーナー:さらに、テナントや事務所も怖いですよね。3密になる場所はどんどん廃れていくのではないでしょうか。実際に、事務所を廃止した会社もあるんですよね。飲食店もテイクアウトやデリバリーのみで縮小して行うことも増えるかもしれません。

 

――住宅も、ライフスタイルが変わることでさまざまな変化が想定できますね。今後の賃貸業界はどのように変わっていくでしょうか。その変化の中でどのような空室対策が有効だと思いますか。

 

松浦オーナー:私は、6月頃から住宅の家賃減額交渉が始まると思います。会社が倒産したり、解雇になったり、収入が落ち込むことで始まると思います。コロナ自体は、暑さや湿気に弱いみたいなので夏場は落ち着くと思いますが、秋頃から復活する可能性もあります。その前にオーナーとしてしっかり対策をしていかないといけないと思いますね。

「がんばる家主の会」代表 松浦オーナー

 

廣田オーナー:ダウンサイジングの需要に対応していくことが急務だと思います。また、来年の繁忙期もどうなるか分からないので、この夏場に空室を埋めていく、ということも一つの対策だと思います。家賃減額で退去を防ぐことも大事ですが、入居のハードルを下げることも必要だと思います。私は6月に敷金礼金0で募集して様子を見たいと思っています。

 

松浦オーナー:お部屋の設備として、インターネット環境を整えることも大事ですね。テレワークするのに必ず必要であり、さらに家族、同居人と同時に使える環境も考える必要があります。ネットは無料だが、速度が遅かったり、すぐパンクする状況では、せっかく入居してもすぐに退去されてしまうかもしれません。今後は設備投資するのも、“安全で快適”な設備投資が必要になってきますね。

 

加藤オーナー:物件の募集情報に回線速度の記載が必要になるかもしれませんね(笑)

 

小場オーナー:私が感じているのは、60歳を超えた高齢者のことですね。引っ越ししたくとも行き場がなく、誰も引き受けないので、今、所有物件の中でもあまり人気のない物件を高齢者OKで募集しています。入居条件で、新聞かヤクルトをとってもらい(笑)、緊急連絡先を提示してもらえば入居できるという、今まで積極的にやっていなかった部分の活動をしています。

 

松浦オーナー:私も、高齢者というところは重要だと思います。私の物件の高齢者は、お金を持っている安定した方、家賃の支払いもしっかりした方が多いですよ。ただし、私は、必ず身寄りの方が近くにいるということを条件にしています。身寄りの方と連絡を取り合って、高齢者を見守っていくということをしています。

 

廣田オーナー:コロナだから、というわけではなく今後、高齢者の需要は大きなマーケットですよね。

 

小場オーナー:ただ、やみくもに入居させてもやはり孤独死の問題はあるので、それをどう防ぐかという解決策を必ず行ったうえで取り込むことが大切だと思います。

 

松浦オーナー:孤独死は高齢者に限ったものではないので、そこも考えていかなければいけませんね。私の物件でも、40代、50代、60代で孤独死された方もいました。近所付き合いの無い方が多かったですね。

 

加藤オーナー:オーナーに影響が出るというところでは、家族が自粛で家にいることによって起こる入居者さん同士の騒音クレームがありました。お子さんがうるさいなどのクレームがありましたね。そのせいで家賃関係なく住んでいられない、という方もいらっしゃいました。今後もテレワークが増えると、しばらく続くクレームになるかもしれませんね。

 

松浦オーナー:お子さんもそうですが、父親もテレワークなどで自宅にいることが多く、日曜大工を平日にやったりして(笑)、騒音問題につながることもありそうですね。

 

廣田オーナー:今後は“住まいの在り方”が変わってくると思います。これだけテレワークが当たり前になると、騒音問題もそうですが、インターネット環境や部屋で快適な生活ができる設備のことも考えないといけませんね。

 

小場オーナー:間取りにも変化がありそうですね。みんなが集まる部屋、というよりも、小さくてもテレワーク用の個人部屋の需要も出てくるのではないでしょうか。

 

松浦オーナー:私が考えているのは、建物の空室をテレワーク用に時間貸しすることです。自分の部屋をどうこうするのではなく、同じ建物の中にそんなスペースがあったらいいんじゃないかな、と思います。

 

加藤オーナー:面白いですね! 建物の中にあったら助かりますね。今後、新しいトレンドが生まれるんじゃないでしょうか。人気間取りは1LDKならぬ、1LDK+T(テレワーク部屋)や、共有で使用できるテレワークスペースがある建物なんて面白いですね。

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この記事を書いた人

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