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『新型コロナウイルス』が賃貸経営にもたらす影響は? 〜緊急開催! オンライン大家座談会〜(2/5ページ)

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賃貸へのコロナ影響。心配は“便乗減額”

――コロナの影響で収入が減ってしまったり、失業するかも、という方は家賃の安いところへ引っ越しすることも必要ですよね。今後もその理由での退去が増えそうです。入居者から家賃減額の相談などはございましたか?

 

廣田オーナー:私の物件では、相談の前に退去してしまったのですが、知り合いの物件では、個人事業主の入居者さんから相談があったと聞きました。

今後、私のところに相談があった場合は、まず、補助金や給付金の制度をご案内して、制度を利用したがそれでも厳しい方には減額の相談を受けようと思っています。何も動かず、減額だけしてくれ、という入居者さんもいると思いますので。

 

松浦オーナー:私の物件では、まだ住居の減額相談はほとんどありません。ですが、テナントさんはほぼ減額相談がありますね。お一人は、日頃からコミュニケーションをとっている方で、減額してあげないと営業できない状態だったので、5月、6月と家賃の3分の1を減額しました。その際にしっかり覚書を交わしました。内容は、減額期間や金額、理由はコロナによる影響とし、両者の署名、捺印をして残しています。もう一人、4月から学習塾を開講する予定で借りた方がいますが、世間話程度はありますが、まだ相談はないですね。相談がきたらまずはしっかりお話を聞いて一緒に前に進むことを考えて行きたいと思います。今後は、“便乗値上げ”ならぬ“便乗減額”は一番よくないと思うので、それは避けたいですね。

 

加藤オーナー:東海大家の会の会員さんのお話ですが、駐車場経営している方も減額交渉がきているそうです。他には、入居付けの面で仲介会社からAD(広告料)を3カ月要求された、との話もありました。

小場オーナー:九州大家の会の会員さんにテナント事業者の方がいるのですが、福岡ではテナント協会のようなところから、「こうやって減額交渉しましょう」という文書が出回っているそうです。減額交渉のマニュアルみたいなもので、嘆願書や免除願い書などの様式も付いているんですよ! びっくりしました。これじゃ、まずは制度云々より先に管理会社やオーナーに相談が来てしまいますよね。

 

「九州大家の会」代表 小場オーナー

 

廣田オーナー:頭ごなしに減額に対応しない、ということではなくて、制度を利用しそれでも厳しく、オーナーが減額したことによってその入居者さんがこの先も生活や営業することができて、退去にならないのであればいいですよね。しかし、何も動かない、対応しない方というのはやはり納得できないですね。何かあったら、滞納や、最悪の場合夜逃げなどしてしまうのでは、と考えてしまいます。

 

小場オーナー:私は管理会社にお願いしたいことがあって、管理会社って、入居者さんから減額の相談があったら、「こんな相談がありましたよ〜、どうしますか?」とそのままオーナーに伝えてくるんですよね。管理料払っているんだから、せめて各制度を案内するとか、入居者さんのために何かしたうえで、オーナーに相談して欲しいですね。こんな状況だから、オーナーは入居者さんのためにいろいろ調べるので、管理会社よりも知識があったりするんですけどね(笑)。

 

松浦オーナー:大事なのは、我々オーナーと入居者さん、管理会社がいる場合は管理会社も含めて3者で協力していかないといけないと思います。特に保証会社を利用している場合は、勝手にオーナーと入居者さんで減額や支払い猶予を決めても保証会社が了承していないと、万が一滞納になった場合保証されない可能性もありますよね。

 

加藤オーナー:私は、自分の物件の入居者さんに“オーナーからのお手紙”を配布しました。管理会社に管理を委託している物件もあるのですが、関係なく全世帯に行いました。内容は、住居確保給付金のチラシとオーナーからの手紙、あと、少ないですがマスク2枚。全部で200世帯です。マスクはまだ高い時期でしたが自腹で(笑)。管理会社ではやれないことを自分で行いました。

実際、影響が出ている入居者さんはいなかったんですが、こういった情報をもらえたこと、制度があることを知って安心したという声や、マスクも嬉しかったと言っていただけました。オーナー側としても、コロナがきっかけで入居者さんと接点を持つことができて、最悪、入居者さんが切羽詰まった状況になったとしても、前段階で相談の連絡がもらえるのではないかと思っています。

 

松浦オーナー:オーナーとして今一番大事なのは、入居者さんとコミュニケーションを取ることだと思います。入居者さんが一人で追い詰められて、最悪、自殺してしまったり、夜逃げしてしまったり、滞納して連絡が取れなくなるなど考えられますよね。日頃から入居者さんとコミュニケーションをとっていれば、最悪の自体は避けられると思うんです。

私もコミュニケーションを取るため、マスクを1軒あたり5枚お配りしました。そうしたら電話やメールでお礼をいただき、状況を把握することができています。自分から先手を打って入居者さんに安心感を持ってもらうことが大事ですよね。

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