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「地上げ屋さんの件の実際にあった事」

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この話は、バブルの頃の話になりますから今を遡る事、20年以上前になります。当時私は、リクルートで紹介された某不動産会社(今は存在していません)に勤務していました。その会社が、「地上げ屋さん」です。誤解の無いように説明しておきますが、まず、「地上げ屋さん」 とは知らずに入社しました事と、「地上げ屋さん」 と言っても 裏の社会と関係のない会社でした事を、初めに言っておきます。

当時は経済状況も 空前絶後の好景気 で「地上げ屋さん」 も沢山活躍していました。私の勤める会社は、東京の都心部を中心に銀行やファイナンス会社などから依頼を受けて条件にあった場所を探し、 「地上げ」 を計画実行して依頼者などに引き渡す ポピュラーな形態の会社でした。

そのお客さんは、約7坪の土地に家を建てて住んでいるおばあちゃんでした。7坪の土地と言ってもバカにしてはいけません。当時その辺りは、土地の価格が1坪当たり 400万円以上!ですから、ざっと約3000万円です。「土地を売ってください」 と訪問しだしてから3回目ぐらいの時だったとおもいます。

いつも通りに おばあちゃんの 家に訪問しますと小さなおうちでしたが、玄関を開けるて中に入るとものすごい数の人がひしめいていました。15人ぐらいはいたでしょうか。おばあちゃんに聞いてみると親戚の方々だそうなんですがわからない人もまじって居たようでした。構成は、おばあちゃんの兄弟や娘・息子夫婦・いとこなど結局、その日は話し合う事も出来ず、別の日に再度伺う事にして、退去しました。

その後は、良くわからない代表者の様な方が毎回、おばあちゃんの家での打合せに参加して散々かき回された記憶があります。それから2か月程で金額も合意に達し、契約となりました。 金額は3000万円でした。おばあちゃんの希望で、契約時に1000万円現金で欲しい との事から、会社は現金を用意して無事契約となりました。

が、次の日の夜です。信じられない事が起きました。

もともと、私たちの会社は本社はビルなどを借りて営業していますが、地上げを進めている場所では空いた土地にプレハブなどを建てて、その場所に事務所を設置して営業している形態でした。そのプレハブの事務所に、例のおばあちゃんが飛び込んできました。「たすけて!殺される!」と叫びながら...。驚いたのは、私たちです。

良く見れば、おばあちゃんの顔が赤かったり、腫れていたりしていました。おばあちゃんも興奮していて、まずは落ち着くのを待ちました。

やっと話が聞けたところ~

例の親戚連中が今日おしかけて、結局のところお金の取り合いになったんだそうです。おばあちゃんは、親戚連中にさんざん脅され、罵声を浴びせられ、最後は現金をむしりとられたそうです。もちろん、警察を呼ぼうとしたのですがおばあちゃんから謝られて「それだけは勘弁してください」と何度も私たちが説得されて...。2時間ほど時間を見てから、社員2人でおばあちゃんを家まで送りました。おばあちゃんの希望で用意した現金も、はたして本当におばあちゃんの希望だったのか...。

今でも信じられませんが、本当にあった事です。まるで、テレビのドラマでも見ている様な事件でした。お金の恐ろしさと言いますか、人の欲の恐ろしさと言いますか、この後真剣に自分という人間は大丈夫な人間かと考えさせられてしまいました。

当然、会社側からその関係者に強く話はしましたがひらきなおっている人がほとんどだったそうです。ただ、その後はさすがに介入してきませんでした。契約時の1000万円は消えてしまいましたが...。

恐ろしい事件ですが、世の中では未だにこんな事が起こっている様です。でも、不動産の世界にいますと普通では信じられない様な事に遭遇します。

そんな話も少しずつお話しします。

【地上げ屋さんの記事まとめリンク】
「不動産業にもいろいろあります」のお話し
「地上げ屋さん」の仕事の話し
「地上げ屋さん」の仕事について まとめ
「地上げ屋さん」の事件についての検証
バブル期の六本木と今の地上げ屋の方法・違い

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この記事を書いた人

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