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牧野知弘の「どうなる!? おらが日本」#11 マンションに住むなら高層階と中層階、どちらを選ぶべきか(2/4ページ)

牧野 知弘牧野 知弘

2019/08/21

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高層階は意外と居心地が悪い

タワーマンションは、高層建築物であるために柱が多く、部屋のレイアウトに制約がでてしまうことも悩みだ。また住戸間の仕切り壁については通常のマンションとは異なり、重量の軽い素材を使うケースが多いために意外と音漏れもする。このように高層階は毎日の生活をおくるにはあまり居心地のよい建物とはいえないのだ。
 
それでもどうしてもマンションの高層階に住みたいということであれば、最上階を避けて住むことをおすすめする。マンションの最上階は意外と居心地の悪いものだからだ。

マンションが快適なのは、上下左右に住戸があるため、暖かいという利点がある。いっぽうで騒音などの問題もあり、特に上階が存在しない最上階は好まれがちなのだが、音の問題は上下階だけのものではない。鉄骨や床面などをつたって、さまざまなところから音は襲い掛かってくるので、最上階だから静かというわけではない。

また最上階は天井から上は屋根となるので、いくつか欠点が出てくる。

一つには、暑い、寒いということだ。上階はなく、外気に触れているので、当然、下階ほどの防熱、防寒効果は期待できない。また、ゲリラ豪雨のような大雨が降ると、屋上面を叩く雨音が意外と響くマンションも多い。さらに、屋上部分の防水工事を怠っていると、屋上から水漏れが生じる。その時に真っ先に被害に遭うのが最上階だ。

また屋上には給水ポンプやエレベーターの巻き上げ機などもあり、施工の悪いマンションだと、そうした設備音や、屋上を点検のために歩き回る足音などが響くケースもある。

眺望については、最上階もその直下の階も、そう大きく変わらない。最上階を避けて、そのひとつ、またはふたつ下の階を選択することが、高層階住戸を買うコツだ。

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この記事を書いた人

株式会社オフィス・牧野、オラガ総研株式会社 代表取締役

1983年東京大学経済学部卒業。第一勧業銀行(現みずほ銀行)、ボストンコンサルティンググループを経て1989年三井不動産入社。数多くの不動産買収、開発、証券化業務を手がけたのち、三井不動産ホテルマネジメントに出向し経営企画、新規開発業務に従事する。2006年日本コマーシャル投資法人執行役員に就任しJ-REIT市場に上場。2009年オフィス・牧野設立、2015年オラガ総研設立、代表取締役に就任。著書に『なぜ、町の不動産屋はつぶれないのか』『空き家問題 ――1000万戸の衝撃』『インバウンドの衝撃』『民泊ビジネス』(いずれも祥伝社新書)、『実家の「空き家問題」をズバリ解決する本』(PHP研究所)、『2040年全ビジネスモデル消滅』(文春新書)、『マイホーム価値革命』(NHK出版新書)『街間格差』(中公新書ラクレ)等がある。テレビ、新聞等メディアに多数出演。

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