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牧野知弘の「どうなる!? おらが日本]#5 新元号住宅市場~日本の住まい方はこうなる(4/5ページ)

牧野 知弘牧野 知弘

2018/09/01

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「自分たちは使わないのでどうぞシェアしてください」
というものだ。これまでの日本人は自分が留守の間、他人に自宅を使わせることには抵抗を覚える人がほとんどだった。

しかし、シェアハウスなどを使いこなす彼らは、こうしたことにあまり抵抗を感じなくなってきているといわれている。

すでにカーシェアという、一台の車を近隣住民がシェアして利用する仕組みも世の中ではどんどん普及してきている。このカーシェアもはじめのうちは「他人と車を共有するなんてレンタカーじゃないのだから」などといった、おもに親世代からの批判的な意見が多くあったが、今ではすっかり定着している。車一台を所有してメンテナンスすることの無駄を彼らはしなやかに理解し、車をシェアすることに対して「別にいいじゃない」「気にしない」「合理的」と考えるのだ。

彼らはさらに日頃身に着ける衣服までメルカリでシェアして着ることにまったく頓着しない。人が着た服であることに何の違和感も抱かないのである。

こうした考え方に則れば、新元号では、家を夫婦共働きだから、自分たちが使わない昼間は、近所の人たちのお稽古事に使ってもよいですよ、とか一時的に倉庫として貸してもよいですよ、キッチンを充実させて近隣の奥様がたのお料理教室にお使いください、といったシェアリングエコノミーの考え方が広がってくる可能性がある。

オフィスと住宅などが混在するエリアなら、近隣オフィスのための「貸会議室」に開放してもよいかもしれない。近隣のお店の倉庫として余った部屋を活用してもらうことも考えられるだろう。

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この記事を書いた人

株式会社オフィス・牧野、オラガ総研株式会社 代表取締役

1983年東京大学経済学部卒業。第一勧業銀行(現みずほ銀行)、ボストンコンサルティンググループを経て1989年三井不動産入社。数多くの不動産買収、開発、証券化業務を手がけたのち、三井不動産ホテルマネジメントに出向し経営企画、新規開発業務に従事する。2006年日本コマーシャル投資法人執行役員に就任しJ-REIT市場に上場。2009年オフィス・牧野設立、2015年オラガ総研設立、代表取締役に就任。著書に『なぜ、町の不動産屋はつぶれないのか』『空き家問題 ――1000万戸の衝撃』『インバウンドの衝撃』『民泊ビジネス』(いずれも祥伝社新書)、『実家の「空き家問題」をズバリ解決する本』(PHP研究所)、『2040年全ビジネスモデル消滅』(文春新書)、『マイホーム価値革命』(NHK出版新書)『街間格差』(中公新書ラクレ)等がある。テレビ、新聞等メディアに多数出演。

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