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牧野知弘の「どうなる!? おらが日本」#6 相続対策が招く一族崩壊(2/3ページ)

牧野 知弘牧野 知弘

2018/10/15

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不動産業界は、魑魅魍魎が跋扈する世界

私は長らく不動産の仕事に係わってきて、相続を中心とした所謂「節税対策」の不動産投資の実態をつぶさに見てきたが、どうも多くの不動産オーナーが、節税対策を行うことばかりに考えが集中して、借入金の返済について、つまり自分がこれから行おうとしている「事業」の性能について「深く考えていない」のではないかと思われるケースが多いことに驚いている。

いっぽうでメディアを中心にこうした節税対策をセールスする側が、リスクに対する説明を十分に行わず、高齢者などの不動産オーナーが「騙される」ことを社会問題として大きく取り上げる傾向にある。

もちろん、世の中には悪い業者も存在することは事実だ。特に不動産業界は、業に携わる自分が言うのもなんであるが、魑魅魍魎が跋扈する世界でもある。

しかし、被害者のほうにももう少しちゃんとした判断能力を持ち合わせていただきたいとも思うのだ。たまたま訪ねてきたセールスマンの感じが良かったとか、とても人をだますようには見えなかったというだけの理由で、何千万あるいは何億もするようなアパート投資やマンション投資を行うのは、不動産オーナー側にも「事業」を行う上であまりに見識がなく、そして無防備すぎるようにもみえる。高齢者で判断能力に欠ける場合は仕方がないが、少なくとも子供や孫がそばについて事業内容をよく吟味する姿勢も必要なのではないだろうか。

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この記事を書いた人

株式会社オフィス・牧野、オラガ総研株式会社 代表取締役

1983年東京大学経済学部卒業。第一勧業銀行(現みずほ銀行)、ボストンコンサルティンググループを経て1989年三井不動産入社。数多くの不動産買収、開発、証券化業務を手がけたのち、三井不動産ホテルマネジメントに出向し経営企画、新規開発業務に従事する。2006年日本コマーシャル投資法人執行役員に就任しJ-REIT市場に上場。2009年オフィス・牧野設立、2015年オラガ総研設立、代表取締役に就任。著書に『なぜ、町の不動産屋はつぶれないのか』『空き家問題 ――1000万戸の衝撃』『インバウンドの衝撃』『民泊ビジネス』(いずれも祥伝社新書)、『実家の「空き家問題」をズバリ解決する本』(PHP研究所)、『2040年全ビジネスモデル消滅』(文春新書)、『マイホーム価値革命』(NHK出版新書)『街間格差』(中公新書ラクレ)等がある。テレビ、新聞等メディアに多数出演。

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