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マスターリースとサブリース(2/2ページ)

森田雅也森田雅也

2017/06/20

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賃料増減請求権とは

賃料増減請求権とは、建物の賃料が不相当となった場合に、契約の条件に関わらず、当事者が将来の賃料の増減を請求できる権利のことをいいます。

この賃料増額請求権が、サブリース契約に適用されるかが問題となりました。

判例は、サブリース契約は賃貸借契約であることを明確にした上、借地借家法の適用を認めました。この事案は、バブルの最中ということもあり、賃料が3年ごとに自動的に値上げするという賃料自動増額特約が締結されていたのです。しかし、バブルが崩壊し賃借人は賃料減額請求権を行使したのです。このような事情から判例は、「減額請求の当否及び相当賃料額を判断するに当たっては、賃貸借契約の当事者が賃料額決定の要素とした事情その他諸般の事情を総合的に考慮すべき」とし、サブリース契約にも賃料減額請求権が適用されると判示しました(最判平15年10月21日)。

これに伴い、サブリース契約を締結するほとんどの管理会社は、あらかじめ2年間で保証料の見直し(家賃の減額など)を行うなど、賃料増減請求権と同じような契約条項を盛り込んでいます。

ただし、賃料増減請求権は賃貸人も行使できる権利なので、土地の物価があがり、近隣との賃料との間に不相当と認められるような事情がある場合には、賃料の増額を請求することもできるのです。例えば、2020年に開催される東京オリンピックに伴い物価が高騰すれば、賃料の増額が認められる可能性も十分にあると思います。

このようにサブリース契約は、賃貸人と賃借人の他にも転貸人という複雑な法律関係であったり、賃料が年数に応じて減っていく特約があったりと注意する必要があります。一人で悩まず、弁護士や専門家と、いろいろな管理会社、不動産デベロッパーなどを比較し、メリット、デメリットを検討して慎重に契約することをお勧めします。数年後には、「ここまで収入が減るなんて考えていなかった。返済が間に合わない。」と取り返しのつかないことになる場合もあります。

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この記事を書いた人

弁護士

弁護士法人Authense法律事務所 弁護士(東京弁護士会所属)。 上智大学法科大学院卒業後、中央総合法律事務所を経て、弁護士法人法律事務所オーセンスに入所。入所後は不動産法務部門の立ち上げに尽力し、不動産オーナーの弁護士として、主に様々な不動産問題を取り扱い、年間解決実績1,500件超と業界トップクラスの実績を残す。不動産業界の顧問も多く抱えている。一方、近年では不動産と関係が強い相続部門を立ち上げ、年1,000件を超える相続問題を取り扱い、多数のトラブル事案を解決。 不動産×相続という多面的法律視点で、相続・遺言セミナー、執筆活動なども多数行っている。 [著書]「自分でできる家賃滞納対策 自主管理型一般家主の賃貸経営バイブル」(中央経済社)。 [担当]契約書作成 森田雅也は個人間直接売買において契約書の作成を行います。

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