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賃貸物件のオーナーチェンジ・管理会社変更について

森田雅也森田雅也

2023/04/13

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最近では、いわゆる「オーナーチェンジ」によって中古物件の賃貸人になる方法が注目されています。また、賃貸物件の管理会社の変更は、賃貸人をやっていれば経験することが少なからずあることです。
今回は、賃貸物件のオーナーチェンジにより賃貸人になる場合と、賃貸物件の管理会社の変更をする際のポイントや注意点についてご説明します。

1. 賃貸物件のオーナーチェンジ

(1)オーナーチェンジとは?

まず、「オーナーチェンジ」とは、旧賃貸人が賃借人との賃貸借契約を維持したまま、新賃貸人となる第三者に賃貸物件の所有権を移転することを言います。
旧賃貸人から第三者に対し、賃借人がいる建物の所有権を移転した場合、その所有権移転登記手続きをすれば、建物の所有者となった第三者は、賃借人の承諾を得ることなく建物の新賃貸人となることができます(民法第605条の2第1項、第2項参照)。

(2)オーナーチェンジにより賃貸人になることのメリット

オーナーチェンジの方法によれば、居室を整えたり、入居者を探したりする手間を省いて、所有権移転登記を済ませるとすぐに賃貸人になることができます。
通常新しく建物の賃貸人になろうとすると、入居者が集まるまでの間は、賃料収入を得られず建物の管理費のみがかさむことになるので、入居者を探す手間を省けることは、賃貸人にとって大きなメリットと言えるでしょう。

(3)オーナーチェンジにより賃貸人になる際の注意点

旧賃貸人と賃借人との間の賃貸借契約が維持されるということは、賃貸人が変わっても、賃貸人以外の契約内容が変わらず維持されることを意味します。そのため、オーナーチェンジにより賃貸人になる場合、転貸の可否、ペットの飼育の可否、楽器の演奏の可否等、どのような条件で旧賃貸借契約が締結されているかを細かくチェックすることが重要です。

また、家賃も維持されることから、相場より低い家賃で旧賃貸借契約が締結されていた場合に、オーナーチェンジをしてから家賃を上げることは難しくなります。せっかくオーナーチェンジによって賃貸人になったのに、従前の家賃が安かったせいで利益が上がらない、といった事態が発生しないよう、周辺の同種物件の家賃相場と比べて著しく低い家賃となっていないか、注意しましょう。

さらに、既に空室ばかりの物件や、オーナーチェンジの直後に多数の賃借人の退居が予定されている物件の賃貸人になる場合には、上述した入居者を探す手間を省けるというメリットを享受できないことになってしまいます。オーナーチェンジ物件を購入する際には、これらのような新賃貸人に不利な条件がないかをしっかり確認しましょう。

(4)敷金や必要費・有益費の引継ぎ

賃借人が入居時に旧賃貸人に対して敷金を支払っていた場合、その敷金は新賃貸人に引き継がれます。そのため、賃借人が建物を退去する際には、新賃貸人が賃借人に対して敷金返還の義務を負うことになります(民法第605条の2第4項参照)。
また、賃借人が建物の必要費・有益費を支出していた場合、それらの費用の返還義務も新賃貸人に引き継がれます。

敷金額は通常、賃貸借契約書に記載されていることが多いですが、過去に未払い賃料が発生していた場合には、敷金がその充当に使われ、敷金残額が契約書記載の金額よりも減っている可能性があります。オーナーチェンジにより新賃貸人になった際には、旧賃貸人から敷金の充当状況や必要費・有益費の支出状況を確認し、賃借人に返還しなければならない額がどれくらいなのかを把握しておくことが重要です。
 
(5)「保証金」の扱い

賃借人が入居時に旧賃貸人に対して「保証金」を支払っていた場合には、その実質的な内容を確認しておく必要があります。最も多いのは「保証金」という名目で敷金の支払いを行っているケースですが、この場合にはすでに述べた通り敷金としての「保証金」も新賃貸人に引き継がれることになります。

一方で、「保証金」が建設協力金としての性格を有する場合には、特約がない限り、新賃貸人に引き継がれません。建設協力金としての「保証金」は、スーパーやコンビニを建設する際に授受されることが多いものですので、オーナーチェンジによって1階部分が店舗になっている物件等の賃貸人となる場合には、特に注意しましょう。

上述したように、同じ「保証金」という名目でも実質的な性質によって新賃貸人に引き継がれるか否かが変わってきますので、オーナーチェンジの際には引き継がれる賃貸借契約の内容を詳細に確認することが重要です。

2. 賃貸物件の管理会社変更

(1)管理会社を変更する目的

管理会社を変更するタイミングは特に決まってはいません。管理費が高額なので見直したい、管理の質を向上させたい、オーナーチェンジのタイミングで自分と相性の良い管理会社に変更したい等、管理会社変更の目的は様々です。

(2)管理会社変更の際の注意点

管理会社の変更を検討する際には、まず、現在の管理会社との間で締結した管理委託契約書の内容を確認しましょう。契約書で定められた内容によっては、契約期間中であったとしても、一定期間前にあらかじめ通知をすることによって、現在の管理会社との契約を終了することができる場合があります。

管理会社を変更した際は、賃借人に対し、管理会社を変更したことおよび新しい賃料振込先をなるべく早く確実に通知することが必要です。賃借人が管理会社の変更を知らずに古い振込先に賃料を支払ってしまった場合には、賃借人や新旧管理会社を巻き込んだトラブルになりかねません。書面での変更通知を郵便受けに入れておくだけでは賃借人に見逃されてしまう可能性が高いため、賃貸人と新しい管理会社で連絡を取り合い、賃借人に直接挨拶して変更を通知するのが良いでしょう。


上述した通り、オーナーチェンジや管理会社変更の際には注意すべきポイントがいくつかあります。トラブルが発生しそうになった場合には、一度お近くの弁護士にご相談ください。



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この記事を書いた人

弁護士

弁護士法人Authense法律事務所 弁護士(東京弁護士会所属)。 上智大学法科大学院卒業後、中央総合法律事務所を経て、弁護士法人法律事務所オーセンスに入所。入所後は不動産法務部門の立ち上げに尽力し、不動産オーナーの弁護士として、主に様々な不動産問題を取り扱い、年間解決実績1,500件超と業界トップクラスの実績を残す。不動産業界の顧問も多く抱えている。一方、近年では不動産と関係が強い相続部門を立ち上げ、年1,000件を超える相続問題を取り扱い、多数のトラブル事案を解決。 不動産×相続という多面的法律視点で、相続・遺言セミナー、執筆活動なども多数行っている。 [著書]「自分でできる家賃滞納対策 自主管理型一般家主の賃貸経営バイブル」(中央経済社)。 [担当]契約書作成 森田雅也は個人間直接売買において契約書の作成を行います。

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