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業界の悪しきカルチャーを暴く(22)

「両手取引」「囲い込み」などが横行するなか、住宅を売却・購入する個人は誰の言葉を信じればいいのか?(2/2ページ)

大友健右大友健右

2016/09/12

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「改革」を声高に叫ぶ人ほどあやしい

業界を糾弾する声が少しずつ増えていくにつれ、一方で、マユツバものの業界論が見られるようになったことは非常に残念なことです。
彼らは一見、威勢よく業界の問題を追及しているように見えますが、ひと皮むいてみれば不動産業界の悪しき慣習にどっぷり浸かっている人たちなのです。

そんな問題あるエセ論者をふたつのタイプに分けて解説してみます。これを読んでいるみなさんは、よく注意してください。

(1)ニセ改革論者
「不動産業界はけしからん!」 という声をあげ、「改革」を声高に叫んでいる人のなかには、実は改革を最も望んでいない人が存在します。信じられないことかもしれませんが、政治の世界にも政治家や評論家のなかにそういう人がたくさんいるのはご存知の通りです。

その改革論者がニセモノか、そうでないかを見分ける簡単な方法があります。それは、その人がどこに軸足を置いているかを見ること。「改革だ、改革だ」と叫んでみても、不動産業界の内部に軸足を置いている人は巧みにミスリードを誘って論点をぼかそうとしている人が少なくありません。

つまり、業界の外に軸足を置いている人、すなわち業界内の利権で儲けたりしていない人の言うことは信用できるという結論になるわけですが、自分が「第三者的な立場」であることを強調しすぎている人にも注意が必要です。よく見てみると、そういう人に限って不動産業界の利権から無縁でない人だったりするものです。

(2)コピペ評論家
ネット上の記事のなかには、本や新聞報道などの情報をツギハギしてつくったあやしい記事をよく見かけますが、住宅ジャーナリストとか、建築評論家と名乗る人のなかにも、借り物の知識をコピペしているだけの人もいます。

もっとも、ニセ改革論者から比べると害は少ないですが、情報の信憑性がとぼしく、デマを拡散させかねないという意味では危ない存在です。

大友健右の言うことは信じられるのか?

さて、こんなことを書いている間に、「では大友の言うことは信用できるのか!?」という声が聞こえてきそうです。ここで断言しておきましょう。

大丈夫です。信用してください、と。

かつて私は、不動産業界内ではそこそこ名の知れた営業マンでしたが、2011年に勤めていた会社を退社してからは、業界の利権構造のなかで金儲けをしたことはありません。
現在の私のメインのビジネスは、外壁専門のリフォーム会社の経営です。ですから、完全に業界と手を切ったわけではありませんが、軸足は業界の外にあります。2012年に、大家さんと部屋を借りたい人とを直接つなぐマッチングサイト『ウチコミ!』をスタートさせることができたのも、そういうニュートラルな立場にいるからです。

もし、反論できる人がいれば、どうぞしてください。
私は4年前に本を出版してからというもの、ずっとその声を待ち構えているのです。

今回の結論

・不動産業界では実際に何が行なわれているのか、その実態が知られるようになっており、改革を叫ぶ声もあがるようになってきた
・でもご用心。なかには問題をはぐらかす「ニセ改革論者」や間違った情報を拡散しかねない「コピペ評論家」がいる
・誰を信用していいかは、その論者の軸足を見るといい。業界の利権にぶら下がっている者の意見を鵜呑みにしてはいけない

★★★こちらも併せてお読みください★★★
「片手」「両手」「囲い込み」、隠語で読み解く不動産業界の仕組み
不動産業界の悪しき慣習、「担当者ボーナス」とは?
業界内で当たり前に行なわれている「囲い込み」の実態

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この記事を書いた人

株式会社ウチコミ 代表取締役 株式会社総研ホールディングス 代表取締役 株式会社プロタイムズ総合研究所 代表取締役 1972年生まれ。大手マンション会社で営業手法のノウハウを学んだのち、大手不動産建設会社に転職。東京エリアにおける統括部門長として多くの不動産関連会社と取引、不動産流通のオモテとウラを深く知る。 現在、株式会社プロタイムズ総合研究所 代表取締役として、住宅リフォームを中心に事業を展開。また、株式会社ウチコミ 代表取締役として、賃貸情報サイト「ウチコミ!」を運営。入居の際の初期費用を削減できることから消費者の支持を集める。テレビ・新聞・雑誌などメディア出演も多数。

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