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「鉄骨プレファブ」を選んではいけない3つの理由

ここで家を建ててはいけない!「ぱあとだせ」にご用心

岩山健一岩山健一

2016/06/17

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「ぱあとだせ」は、とあるものの頭文字

連載第1回目のテーマは、「ぱあとだせ」にご用心。「パート出せ?」「パーと出せ?」、「ぱあとだせ」とはいったい何のことでしょう?

一見何かの暗号か? 何かの略語か、あるいは業界用語か? それとも専門用語か? 考えてもわかるはずはありません。これはあるものの頭文字を言葉に近くなるように並べ替えたものなのです。

いったい何を示しているかというと、絶対買ってはいけない、そして絶対建ててはいけない大手ハウスメーカーの頭文字を表しているのです。大手ハウスメーカーといっても数多あるわけですが、ここで私が悪質かつ低品質として取り上げている住宅メーカーは「鉄骨プレファブ」形式のハウスメーカーのことを指します。

「鉄骨プレファブ」を選んではいけない3つの理由

なぜ鉄骨プレファブなのか? ということには理由があるのです。そしてその理由を知ればほとんどの方は計画を取りやめることは間違いないと思われます。

■■理由1■■ 鉄は熱伝導率が高く、断熱施工が困難

建築物の主要構造部は「木」「コンクリート」「鉄」の3種類に分類されます。この3つの素材の熱伝導率を比較すると、

「木」(0.12)<「コンクリート」(1.2)<「鉄」(83)

となることから、鉄が最も熱を伝えやすい素材であることがわかります。つまり、鉄骨プレハブは、夏の灼熱、冬の厳寒を鉄が伝えることになり、空調効率を著しく低下させるのです。

どこかのメーカーが「外張り断熱」といってコマーシャルをしていましたが、屋根は外張り断熱ではありませんから、屋根下地の鉄骨が熱せられ、壁下地の鉄骨に伝わり、それが室内に輻射熱として影響するので、空調効率は余計に悪化するのです。「あったかハイム」というコマーシャルも記憶にあると思われますが、広告の内容とはまったく違う現実にお怒りの方も多いでしょう。

■■理由2■■ プレハブ(パネル)構造なので防水が連続しない

木造は家の形ができた段階で、屋根や、壁に防水紙を張り巡らせます。そして重ねを取って雨水の浸入を防ぎます。コンクリートの家は表面に防水性のある弾性塗料を吹き付け、防水層を連続させます。

ところがプレハブ構造はパネルを建て込んでいきますので、その継ぎ手には防水の不連続による断裂が発生します。そしてそこをシール材やガスケット材によって止水しているのですが、このシールが劣化したり、施工不良によって破断したりしたところからの漏水事故が実に多いのです。総じていうならば、そもそも防水に関する考え方が、不完全であるということにほかなりません。

■■理由3■■ 型式認定という悪しき制度を利用している 鉄骨系ハウスメーカーが、あそこまで利益を確保できた背景は、「型式認定制度」の利用にあるといっても過言ではありません。では、この型式認定とはいったいどんなものなのでしょうか。

一般的な感覚として、国土交通大臣認定工法とか認定住宅とかいわれれば、ほとんどの人は、何か質的に優れたもので、大変ありがたいものと思うことでしょう。しかし、実はその反対で、これは質的に低廉でチープなものに対して認定を受けるということなのです。

建築物の部材は、建築基準法によって各部の仕様が規定されています。もしその内容以上のものを設計に使用するのであれば、何も問題はないのですが、実はそれ以下の材料で家を建てたいといった場合に、この認定制度を利用することになります。

そしてこの制度を利用することで、構造部材をギリギリまで薄く、そして細くして、原価を安く抑えて、しこたま儲けてきたのがこの鉄骨系ハウスメーカーなのです。 

「ぱあとだせ」の具体的な社名とは…

ほかにも鉄骨系ハウスメーカーを選んではいけない理由はありますが、また次の機会にお話しして参りましょう。

そして「ぱあとだせ」ですが、具体的な会社は次の通りです。

「ぱ」ナホーム
「あ」さひ化成ホームズ
「と」ヨタホーム
「だ」い和ハウス
「せ」き水ハウス

いずれもテレビコマーシャル枠を賑わしている会社です。そのためか、テレビでは欠陥問題が報道されることはほとんどないのですが、実は欠陥問題が山積しているのです。その事実はなかなか一般の人達には伝わっていません。

この5社で家を建てるのは、とりあえずやめたほうがいいかもしれません。

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この記事を書いた人

株式会社日本建築検査研究所 代表取締役

一級建築士 建築ジャーナリスト 大学で建築を学び、NHKの美術職を経て建築業界へ。建築業界のしがらみや慣習に疑問を感じ、建築検査によって欠陥住宅を洗い出すことに取り組む。1999年に創業し、事業をスタート。00年に法人化、株式会社日本建築検査研究所を設立。 消費者側の代弁者として現在まで2000件を超える紛争解決に携わっている。テレビ各社報道番組や特別番組、ラジオ等にも出演。新聞、雑誌での執筆活動も行なう。 著書にロングセラー『欠陥住宅をつかまない155の知恵』『欠陥住宅に負けない本』『偽装建築国家』などがある。

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