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金融機関は絶対に教えてくれない!

超低金利時代の新常識、住宅ローンの繰り上げ返済は損をする!(1/2ページ)

牧野寿和牧野寿和

2016/11/08

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超低金利時代の繰り上げ返済はおすすめできない!?

これまで、住宅ローンはできるだけ早く繰り上げ返済して、返済負担を減らしたほうがよいということが定説のように言われてきました。

たしかに、金利が高かった時代には繰り上げ返済の効果は大きいものでしたが、この超低金利時代に繰り上げ返済の効果はどれくらいあるのでしょうか。

全期間固定金利型の【フラット35】の金利を見てみると、融資率9割以下で返済期間35年の金利は1.030%、返済期間20年以下であれば0.930%と1%を切っています(平成28年11月時点)。

これだけの低金利であれば、投資信託や保険といった金融商品で資産運用をして、住宅ローン金利以上の運用成果を上げることも可能です。つまり、手元のお金を繰り上げ返済に充てるよりも、資産運用に回したほうが得する可能性もある時代になっているのです。

そう考えると、一概に繰上げ返済をおすすめする時代ではなくなったといえるでしょう。

繰上げ返済の効果はどれくらいあるの?

とはいっても借金は早く返すに越したことはないと思っている方もいるでしょう。

そこで、現在では繰り上げ返済をすることで、どれくらいの利息を軽減できるのか、具体的な例をあげてシミュレーションしてみましょう。条件は下記の通りとします。

融資金額 3000万円
融資期間 35年
金利   1%(全期間固定型)
返済方法 元利均等払い、ボーナス返済なし

なお、繰上げ返済の方法は、毎月の返済額は同じでも返済期間を短縮する「返済期間短縮型」と毎月の返済額を減額しても返済期間は変わらない「返済額軽減型」があります。

今回は、より繰上げ返済の効果があると言われている「返済期間短縮型」で効果を検証してみましょう。

このケースでは、毎月の返済額は8万4686円で、返済総額は約3556万円、うち利息額が約556万円となります。

借入れ後、3つの異なる時期に500万円を繰り上げ返済するとして、それぞれのケースで軽減される利息金額を計算してみます。なお、繰り上げ手数料などの負担については無視しています。

【ケース1】融資から1年後に500万円を繰り上げ返済

やや極端な例ですが、融資から1年後、12回目の返済で500万円を繰り上げ返済したケースです。

完済までの期間は28年4カ月(返済回数:340回)に短縮され、返済総額は約3377万円(うち利息額は約377万円)となり、繰上げ返済をしなかった場合より、約179万円の利息が軽減されます。

【ケース2】融資から10年後に500万円を繰り上げ返済

融資から10年後、120回目の返済で500万円を繰り上げ返済したケースです。

完済までの期間は、28年11カ月(返済回数:347回)に短縮され、返済総額は約3434万円(うち利息額は約434万円)、繰上げ返済をしなかった場合より、約122万円の利息が軽減されます。

【ケース3】融資から30年後に500万円を繰り上げ返済

融資から30年後、360回目に繰り上げ返済したケースです。
この場合、この繰上げ返済でローンは完済となります。返済総額は約3548万円(うち利息額が約544万円)となり、繰上げ返済をしなかったときより、約12万円の利息が軽減されます。

この時期には、利息額の返済はほとんど終わっているため、利息軽減効果が小さいのです。

【ケース4】5年ごとに120万円ずつ、合計600万円を繰り上げ返済

最後に、融資を受けてから5年ごとに120万円、合計で 600万円を繰り上げ返済したケースを考えてみましょう。

融資を受けると同時に毎月2万円ずつ貯蓄し、5年ごとに120万円(2万円×12カ月×5年間=120万円)、合計600万円を繰上げ返済する想定なので、非常に現実的な繰上げ返済のケースといえるでしょう。

この場合、完済までにかかる期間は28年1カ月(返済回数:337回目)となります。返済総額は約3447万円(うち利息額が約447万円)、繰上げ返済をしなかった場合より、利息額は約109万円軽減されます。

次ページ ▶︎ | 低金利時代は、繰り上げ返済の効果が小さくなる

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この記事を書いた人

CFP、一級ファイナンシャル・プランニング技能士

1958年名古屋生まれ、大学卒業後、約20年間旅行会社に勤務。出張先のロサンゼルスでファイナンシャルプランナー(FP)に出会い、その業務に感銘を受け、自らもFP事務所を開業。 その後12年間。どの組織にも属さない「独立系」FPとして、誰でも必要なお金のことを気軽に考えてもらうため「人生を旅に例え、お金とも気楽に付き合う」を信念に、日本で唯一の「人生の添乗員(R)」と名乗り、個別相談業務を行なうとともにセミナー講師として活動している。 また、賃貸不動産の経営もしており、不動産経営や投資の相談にも数多くのアドバイスやプランニングをしている。

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