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「終の棲家」をどう作るか

バリアフリー住宅改修での介護保険の使い方(2/3ページ)

鬼塚眞子鬼塚眞子

2019/10/14

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手続きに必要な3つのポイント

介護保険住宅改修費の対象とするには、事前にやっておかなければならないことが3つある。第一に、住宅改修前にケアマネジャー(居宅介護支援専門員)と相談しなければならない。当然のことだがケアマネジャー等が作成した理由書が必要になるからだ。ケマネジャーがいない場合は、行政の介護保険課や地域包括支援センターなどに相談してみよう。行政によっては、高齢支援課という専門部署を設けている場合もある。まずは、行政の総合案内に「介護保険で利用できる住宅改修の担当部署はどちらですか?」と確認することをお勧めしたい。

第二に、行政への事前申請が必要なことだ。事前申請をしないで改修をした場合は、介護保険給付の対象にならない。ただし、申請をしたからといって、申請された工事が介護保険の利用者に合った改修となっているか、保険給付の対象として適正かどうかの確認作業が行われるため、認定されないケースもある。

第三に、対象となる住宅は、介護保険証に記載されている住宅で、例えば、別荘があったとしても、自宅と別荘の両方が対象となるわけではない。いずれにせよ、自己判断をせず、行政やケアマネジャーに相談して、介護保険制度の住宅改修費が適用されるかどうかの確認が必要だ。

介護保険住宅改修費の手続きの流れは下記のようになる。

【ケアマネジャーに相談】
ケアマネジャーに相談に行く。

【介護リフォーム事業者に依頼】
ケアマネジャーから住宅改修事業者に改修の依頼。

【下見と立ち会い】
自宅の環境や室内の家具の配置の確認や寸法の採寸のために、ケアマネジャーとともに、事業者に下見に来てもらう。利用者や親族は立ち会って、利用者の生活習慣や性格、希望を伝える。

【提案プランの作成と見積り】
住宅改修事業者に住宅改修のプランと見積もりを出してもらい、チェックと内容の確認を行う。介護保険制度の住宅改修費用の払い戻しは、原則一人1回のため、少しでも納得がいかない場合は、再提案をしてもらう。

【行政に事前申請】
利用者が行政に住宅改修の申請を行う。書類は行政などにしっかり確認することが不可欠。

【お知らせの受取り】
「住宅改修に関するお知らせ」を受け取ってから、施行する

【施工・完成】

【工事費用の支払い】

【住宅改修費の払い戻し】
工事が完了したら、費用を全額支払った上で、住宅改修費の給付申請を行う。かかった費用の9割(一部8割)が還元されることとなる。繰り返すが、住宅改修費は20万円が上限となるため、給付限度額は18万円となる。

上記は、サービス提供事業者や利用者の状況によっても若干異なってくる。詳しい申請方法等は、行政やケアマネジャー、事業者に相談しながら進めよう。また、申請は、利用者本人でも代理人でも可能で、直接、窓口まで行かなくても郵送でも受け付けてもらえる。詳しくは各市町村に確認してもらいたい。

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この記事を書いた人

一般社団法人介護相続コンシェルジュ協会理事長

アルバイトニュース・テレビぴあで編集者として勤務。出産を機に専業主婦に。10年間のブランクを経て、大手生保会社の営業職に転身し、その後、業界紙の記者を経て、2007年に保険ジャーナリスト、ファイナンシャルプランナー(FP)として独立。認知症の両親の遠距離介護を自ら体験し、介護とその後の相続は一体で考えるべきと、13年に一般社団法人介護相続コンシェルジュ協会(R)を設立。新聞・雑誌での執筆やテレビのコメンテーター、また財団理事長として、講演、相談などで幅広く活躍している。 介護相続コンシェルジュ協会/http://www.ksc-egao.or.jp/

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