【インタビュー】「父親の存在を尊重できたのは友人からのたったひとつのアドバイスだった」(2/3ページ)
しばはし聡子
2019/07/19
■現在、どんなカタチで共同養育を行っていますか。
息子も23歳にもなり立派な大人ですので、直接やりとりをして会っています。息子に完全に任せていますし、息子と父親の関係に首を突っ込むつもりもないので、自由にどうぞという気持ちでいます。会った時の話は快く聞いています。
私が出向くことのない元夫側の親族の葬儀にも息子は参列するなど、父親と息子の関係にとどまらず家族という形での関わりも続いていますね。
■共同養育するにあたり困っていること、困っていたことはありますか。
自分の気持ちが不安定になりやすく心を整えることが大変でした。元夫と直接の関わりはないので、なにか嫌なことをされるわけではないのですが、同居していた頃のわだかまりが心中に残っていましたので、不快な感情が湧き出てくることもしばしば。その自分の気持ちを抑えることに苦労しましたね。
■お相手がどんなことをしてくれたらうれしいですか。
私に対してなにかしてほしいということは全くないのですが、息子に対してよくしてくれれば十分です。今はもちろんですが、万が一元夫の身に何かあった時に息子になにかしら残してくれたらありがたいです。
■共同養育はどんなメリットがありますか。お子さんはもちろんご自身にとっても良いことがあれば教えてください。
私自身、仕事で年中飛び回っていたので、息子をひとりにさせずに、元夫そして祖父母が常に息子をみていてくれたのはとても助かりました。女手一つで子どもを育てていくのは大変なことですから。
気持ちの面で楽になったこともありましたね。息子が就職の報告した際に、「家庭が大変ななか、一人前の社会人になってくれてありがとう。悪かったな、身から出た錆だ。」といった内省があったとのこと。その言葉を聞いて、長年の許せなかった気持ちから解放されました。
もし、一切関わっていなかったら一生わだかまりがあったので、息子との関わりを通して私自身も乗り越えることができました。
息子はここ最近、更に父親との関係がよくなっているようです。先日父親と会った時に、共通の趣味の話で盛り上がったそうで、感性がとても似ていたとのこと。息子が一言「俺、やっぱり父親の息子なんだなーってあらためて思った」と。
息子が血の繋がりを再認識する機会となったのも継続して会い続けていたおかげだと思います。
元夫は、「あいつはガミガミ言うけれど、そのおかげで立派に育ったんだぞ」「あいつはいい加減だからちゃんとみてあげるんだぞ」と悪口を交えながらも私のことを会話に出すそうです。時が関係を変えていくことを感じさせられますね。
この記事を書いた人
一般社団法人りむすび 共同養育コンサルタント
1974年生まれ。慶應義塾大学法学部卒。自身の子連れ離婚経験を生かし当事者支援として「一般社団法人りむすび」を設立。「離婚しても親はふたり」共同養育普及に向けて離婚相談・面会交流支援やコミュニティ運営および講演・執筆活動中。 *りむすび公式サイト:http://www.rimusubi.com/ *別居パパママ相互理解のオンラインサロン「りむすびコミュニティ」 http://www.rimusubi.com/community *著書「離婚の新常識! 別れてもふたりで子育て 知っておきたい共同養育のコツ」️