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週末は田舎暮らし! を始めよう(18)

熱中症になって考えた。草むしりと人生に大切なこと(2/2ページ)

馬場未織馬場未織

2016/06/03

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モーレツ、ではない働き方を身につける

うちの集落では、「道普請」という道端の草刈りが共同作業としてしばしば行なわれます。

わたしが躍起になって草刈りをしていると、集落の方から「ぼちぼち、休み休みな」と声がかかります。汗だくの顔でふっと顔をあげると、そう急ぐな、といった笑顔でこちらを見ている方と目が合い、ちょっと恥ずかしくなります。あらやだ、モーレツな感じがでちゃってた?と。

少し疲れてきたな、というタイミングで「一息いれっか」と誰かが言い、お茶が配られてブレイクタイム。ちょっとした甘いものを口にすると、甘さが体に染み入ります。

たわいもない話をしながら、腰を伸ばしてクールダウン。

この、合いの手のような時間は、実はとても重要なんですね。

一日中外で働くことの多い農家の方々は、しっかりと休憩を入れることこそ、結局きちんと働ける時間を増やすことにつながるとわかっています。

それに比べわたしは、どうもうまく休むのが苦手です。休まないで追い込んで働くことをよしとする気持ちが、どこかにあるのかもしれません。体にせよ、頭にせよ、酷使した後がくっと疲れる、という状態自体を“充実している”と思いがちですが、本当にそうかな、とふと立ち止まってしまいます。長い目で見て持続可能な働き方をしたいものだと、40歳を過ぎて初めてしみじみ考えるようになりました。

まあ、いってみれば二地域居住は、都市的な日常生活に田舎暮らしを意図的にカットインする暮らし方ですから、大きく考えれば「リセット」をうまくしているともいえますけれど、ね。

休み休み、まわりの景色もたまに見て、深呼吸をして、次へと進みましょう。

 

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この記事を書いた人

NPO法人南房総リパブリック理事長

1973年、東京都生まれ。1996年、日本女子大学卒業、1998年、同大学大学院修了後、千葉学建築計画事務所勤務を経て建築ライターへ。2014年、株式会社ウィードシード設立。 プライベートでは2007年より家族5人とネコ2匹、その他その時に飼う生きものを連れて「平日は東京で暮らし、週末は千葉県南房総市の里山で暮らす」という二地域居住を実践。東京と南房総を通算約250往復以上する暮らしのなかで、里山での子育てや里山環境の保全・活用、都市農村交流などを考えるようになり、2011年に農家や建築家、教育関係者、造園家、ウェブデザイナー、市役所公務員らと共に任意団体「南房総リパブリック」を設立し、2012年に法人化。現在はNPO法人南房総リパブリック理事長を務める。 メンバーと共に、親と子が一緒になって里山で自然体験学習をする「里山学校」、里山環境でヒト・コト・モノをつなげる拠点「三芳つくるハウス」の運営、南房総市の空き家調査などを手掛ける。 著書に『週末は田舎暮らし ~ゼロからはじめた「二地域居住」奮闘記~』(ダイヤモンド社)、『建築女子が聞く 住まいの金融と税制』(共著・学芸出版社)など。

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