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週末は田舎暮らし! を始めよう(11)

「有機野菜だけが正しい」という考え方は正しいか?(2/2ページ)

馬場未織馬場未織

2016/04/01

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さまざまな正しさに、心を傾ける

現在のわたしは、そのどちらもに興味があります。

その上で、なるべく応援している農家さんの野菜や米を買うようにしています。その人がつくったものだと思うと食べる喜びが増すし、信頼感が大きいからです。

でも、そうでないものもけっこう買います。それぞれの農家さんがつくったものがブレンドされて売られている地域のお米も好んで買います。経済的な理由が大きいですが、それだけではありません。

以前、うちの近くの大きな米農家さんが、こんなことを言っていました。

「僕たちは、地域を支える米をつくっている。地域の雇用を生み、地域の一般家庭が食べる米をつくっている。それを、美味しくつくる努力をする」

みんなが普通に食べるものを、いかに安く、安全に、美味しくつくるか。
特化されたブランドをつくる努力とはすこし意味合いの異なる、公共への意識のあるその言葉に、心を打たれました。
 
強い輪郭を持たない生産物だって、農家さんの思いの乗ったものなのだと、改めて思った瞬間でした。

もちろん、そんな善意のある生産者ばかりではないと思います。
でも、地域を支えているベースがあり、それとは一線を画したブランドがあり、そのどちらもの意義を理解した上で、自分の生活状況や考えに合った食べ物を選んでいくという、冷静な暮らしがしたいと思っています。

いつまでも初心者のへっぽこ週末農家ですが、食べ物に対するそんな想像力だけは、ほんの少し育ったかもしれません。

みなさんは、どんなものを食べますか。

それは、なぜですか。

 

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この記事を書いた人

NPO法人南房総リパブリック理事長

1973年、東京都生まれ。1996年、日本女子大学卒業、1998年、同大学大学院修了後、千葉学建築計画事務所勤務を経て建築ライターへ。2014年、株式会社ウィードシード設立。 プライベートでは2007年より家族5人とネコ2匹、その他その時に飼う生きものを連れて「平日は東京で暮らし、週末は千葉県南房総市の里山で暮らす」という二地域居住を実践。東京と南房総を通算約250往復以上する暮らしのなかで、里山での子育てや里山環境の保全・活用、都市農村交流などを考えるようになり、2011年に農家や建築家、教育関係者、造園家、ウェブデザイナー、市役所公務員らと共に任意団体「南房総リパブリック」を設立し、2012年に法人化。現在はNPO法人南房総リパブリック理事長を務める。 メンバーと共に、親と子が一緒になって里山で自然体験学習をする「里山学校」、里山環境でヒト・コト・モノをつなげる拠点「三芳つくるハウス」の運営、南房総市の空き家調査などを手掛ける。 著書に『週末は田舎暮らし ~ゼロからはじめた「二地域居住」奮闘記~』(ダイヤモンド社)、『建築女子が聞く 住まいの金融と税制』(共著・学芸出版社)など。

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