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【京都で愉しむセカンドライフ】「京都」デュアルライフ――旅行では味わえない「祇園祭の魅力」(3/3ページ)

奥村 彰太郎奥村 彰太郎

2020/07/03

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祇園囃子を京町家で聴く♪

後祭は山鉾の数も少なく先祭に比べて地味な印象があり、「後の祭り」ということわざの語源になったと言われている。昨年は縁あって新町通りにある吉田家住宅で、後祭の宵山に祇園囃子を聴きながら食事をする機会を得た。女房と浴衣姿で参加した。吉田家の前の通りに立てられた「北観音山」という曳山(ひきやま)の舞台で、コンチキチン♪コンチキチン♪と祇園囃子が奏でられるなかで食事をする優雅なひとときを過ごした。

家の中庭に続く夏のしつらえをした座敷は、祭の間は表通りの格子戸が外され開放感がある。伝統的な京町家である吉田家の屏風飾りを通りから眺める人も多く、中の座敷で食事をとっている私たちを好奇な目で見ているようにも思え、ちょっと優越感を味わう体験だった。食事の後は、通りに面した二階の座敷に上がり、格子窓が外された敷居に座り、宵山を楽しむ人々や「北観音山」を飾る駒形提灯の灯りを眺めながら祇園囃子を楽しんだ。


駒形提灯 

吉田家は明治時代に建てられた築100年を超える伝統的な町家住宅で、文化庁の登録有形文化財に指定されている。吉田家の当主である吉田孝次郎さんは、公益財団法人祇園祭山鉾連合会の元理事長を務めた地元の名士。吉田家住宅の維持保全には「NPO法人うつくしい京都」という団体が支援をしている。年数回開かれる吉田塾という勉強会では、吉田さんが講師を務め祇園祭や町家の歴史などを語ってくれる。

職人技が冴える山鉾の組み立て!

後祭のもう一つの体験は「北観音山」の松立てに参加したこと。「北観音山」は高さ20mを超える大型の曳山だ。先祭が終ると新町通りで組み立てが始まる。部材を釘は使わず荒縄だけで組み上げる伝統的な職人技だ。


北観音山の組立」

曳山に立てる松の木は、京都近郊の山から切り出されトラックで運ばれてくる。切り口を斧でけずり本体の柱に鉄輪とクサビで接続、胴体を横に倒し松の木を差し込み、綱引きの要領で引き上げる。昨年はこの松立てを地元の方に混じって手伝った。50人ぐらいで綱を引くと曳山の先端になる松が立ち上がり、参加者から拍手が起きた。


「北観音山松立て」

翌日には囃子舞台と屋根が付けられ、直径約2mの車輪がはめられる。胴体はペルシャやトルキスタン、インド製の絨毯で飾られ、曵き初めが行われる。残念ながら曵き初めには参加できなかったが、運良く囃子舞台には上がることができた。舞台は女人禁制という決まりがあるとのこと。舞台は6畳ぐらいの広さで、巡行当日は楊柳観音像と韋駄天像が祀られ、ご神体を囲むように囃子方が乗り込む。

地元の方々と触れ合うことで祭見物が益々楽しくなった。来年は祇園祭が盛大に行われることを期待したい。

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この記事を書いた人

ファイナンシャル・プランナー&キャリア・カウンセラー

1953年東京生まれ、東京都立大学卒業、株式会社リクルートに入社。進学や住宅の情報誌の営業や企画・人事・総務などの管理職を務め、1995年マネー情報誌『あるじゃん』を創刊。発行人を務めた後、2004 年 ファイナンシャル・プランナー&キャリア・カウンセラーの資格を活かし、“キャリアとお金”のアドバイザーとして独立。企業研修の講師や個別相談を中心に活動中。大学の非常勤講師も務める。東京と京都のデュアルライフを実践中。

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