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環境アレルギー対策で、さらに健康増進! 第5回「はじめて学ぶ化学物質過敏症」(1/2ページ)

加藤 美奈子加藤 美奈子

2020/06/08

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PHOTO/recstockfootage・123RF

新型コロナ対策で苦しむ化学物質過敏症の人たち

令和2年は新型コロナウイルス対策が活発化しています。経済を早く元に戻したいと誰もが真剣です。またワクチンや治療薬が確立していないのでマスコミ情報を頼りに個々で対策に励んでいる状態です。

その一方で非常に暮らしにくくなった方がいます。それは、化学物質に過敏に反応する人たちです。今は、店やホテルに入る前は、薬剤を手に噴霧してから、室内に入ります。スタッフは、椅子、かご、机など薬剤や洗剤できれいに汚れを拭き取ります。店側は、感染源を減らすために懸命の努力を行っています。ここではそれらで苦しむ人がいることを学びましょう。

化学物質過敏症の罹患者数の正確な数字はわかっていません。彼らの格好は、帽子をかぶり、長袖や長ズボンをはき、マスクは必ずつけています。新型コロナウイルスで、今はおそらく識別できない状態ですが、普段からそうやって化学物質を浴びないように工夫しています。

病態は、超微量の化学物質を摂取するだけで、鼻炎、喘息、頭痛、吐き気、しびれ、かゆみ、腹痛、自律神経障害、精神症状(うつ、不眠、記憶困難)など不快な症状が出てしまい、人によっては寝込んだり、呼吸困難になります。国の定めた室内濃度指針値より低い値でも症状が現れます。その化学物質の種類は、人によって違い数多くある化学物質から特定するのは大変困難です。この疾患は、日本では、2009年に病名として使用されるようになり、WHO(世界保健機関)でも記載されています。国内の専門病院は、年々減り全国で数カ所しか存在していません。患者は治療する場所を失い病状の悪化と共に、貧困が進み、障害年金暮らしの方もいて大変苦労をされていると聞きます。病院ができることは、世界共通の診断法QEESI(Quick Environment Exposure Sensitivity Inventory)※でたくさんの質問に患者は答え、医師が診断し精神面のサポートを行い、不安を取り除くことです。診断法は化学物質不耐性、症状、日常生活への障害度、マスキングについて各スコアの組み合わせによる診断基準に従って過敏症の可能性を予測します。

治療は、薬品自体が化学物質なので積極的ではありません。また、すぐ治る病気ではないので、少しずつ、体内に蓄積した化学物質を排泄することが大切です。

次ページ ▶︎ | 蓄積された化学物質および化学物質曝露を減らす対策 

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この記事を書いた人

春日井環境アレルギー対策センター 代表

子どもがアレルギー起因の喘息で入退院を繰り返した経験から、2011年にアレルギーをもつ子どもの育児をサポートする任意団体を設立。2018年、春日井環境アレルギー対策センターを設立し、健康住宅建築や既存建築物の空気質測定、室内空気環境品質検査認証などを中心に事業展開。アレルギー患者を一人でも減らすべく日々活動している。資格:看護師、環境アレルギーアドバイザー、シックハウス診断士

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