見落とされがちな「庭」のトラブル(2/4ページ)
鬼塚眞子
2019/07/22
高齢者にはつらい庭の手入れ
時は流れ、今の庭は南欧風のガーディニングやイングリッシュガーデンなど多様化している。一方、マイホームラッシュ時代に建てた家は、世帯主同様、歳月を重ねてきた。高齢になればなるほど、家の管理をするだけでも大変なのに、庭木の世話までとなると、手が回らなくなるのが現実だ。さらに実際の作業を行うにも、体力もの衰え、関節の動きや握力も低下し、剪定ばさみも思うように使えなくなるといったことも起こる。
ガーディングは、見る分には楽しいが、ちょっとでも手入れを怠ると、すぐに雑草が増えたり、害虫がつくため、日々の手入れは欠かせない。こうした作業は高齢者に限らず、働き世代にとっても重労働の作業だ。高齢者になるほど、庭木まで手が回らなくなるのはやむをえないともいえる。
別居している子どもたちに世話を頼んでも、子どもにもそれぞれ事情があって、なかなか庭木の世話まで手が回らない。
とはいえ、業者に頼めば、敷地面積や地方によって違いはあるが、1回につき最低でも5万以上はかかるようだ。しかも、当時は庭にあると自慢にもなった松のように木は特別の剪定が必要とし、ほかにも庭を彩る樹木によっては半年に一度、消毒がかかせないものあり、これらの世話にも費用がかさむ。年金暮らしの身にとっては大きな出費だ。
そこで剪定をシルバー人材センターに頼む人も多いのだが、2ヶ月以上先まで予約が埋まっていたり、剪定に来た人の能力によって、プロなら1日で終わらせてしまうところが何日もかかり、結果的に「プロに頼んだのと同じ費用がかかった」との苦情もある。いずれにせよ、思い出の庭木は、高齢者にとって重荷になるケースもある。
この記事を書いた人
一般社団法人介護相続コンシェルジュ協会理事長
アルバイトニュース・テレビぴあで編集者として勤務。出産を機に専業主婦に。10年間のブランクを経て、大手生保会社の営業職に転身し、その後、業界紙の記者を経て、2007年に保険ジャーナリスト、ファイナンシャルプランナー(FP)として独立。認知症の両親の遠距離介護を自ら体験し、介護とその後の相続は一体で考えるべきと、13年に一般社団法人介護相続コンシェルジュ協会(R)を設立。新聞・雑誌での執筆やテレビのコメンテーター、また財団理事長として、講演、相談などで幅広く活躍している。 介護相続コンシェルジュ協会/http://www.ksc-egao.or.jp/