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高齢者だけでの世帯は要注意!

見落とされがちな「庭」のトラブル(3/4ページ)

鬼塚眞子鬼塚眞子

2019/07/22

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突然やってきた近所の“正論じいさん”

そんな庭木を巡るトラブルの実例を紹介しよう。

ある日Aさんはドンドンと激しく玄関扉を叩く音に驚き、慌てて玄関に行った。すると、隣の家のBさんが鬼のような形相で立っていた。

Bさんの70代後半で、地域の町内会の役員を長年勤めていた。その自負なのだろうか、近隣の家で少しでも目につくことがあれば、注意をすることで有名だった。注意の仕方も色々とあるが、相手がどう思うかは少しも考えない。自分の主張だけをまくし立てることで有名だった。

AさんとBさんの家は隣同士といっても敷地の関係で、顔を合わすことはほとんどなく、挨拶程度の関係だった。

玄関を開けるとBさんは「ちょっとこっち来て」とAさんの手頸を強く掴んで外に引っ張りだした。「何が起こったのか」と訳もわからないまま、AさんはBさんに引っ張られ、家の境界近くに植えている1本の植木の前に連れて来られた。

BさんはAさんに
「横から見て。うちの敷地に枝が伸びているのが分かるのよね? 葉が落ちて掃除も面倒なのよ。台風や雪が降ると、うちの屋根に枝がしなる。もう根元から切ってしまったらどう? あなただって若くないからこれから管理も大変でしょう?1ヶ月もスケジュールの余裕を見ていればプロに依頼できるね? いつにしてくれるの?」
とAさんの話を聞くこともなく、持ってきた手帳を見ながら、一気にまくしたてた。
 
実はAさんは、最近まで半年間、入院していた。久しぶりに自宅に帰ってみたものの、疲れが出て、横になって休むことも多かった。庭が雑草でおおわれていることや植木が隣家まで伸びていることもわかってはいたが、庭の手入れをする気力も体力も復活していなかった。Bさんが怒鳴り込んできたのは、そんな時だった。

おとなしい性格のAさんは、「ご迷惑をおかけして申し訳ありません。まだ調子が安定していないので、いつというのは、今は決められません」というのが精一杯で、ひたすら謝り続け、その日は何とか帰ってもらった。

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この記事を書いた人

一般社団法人介護相続コンシェルジュ協会理事長

アルバイトニュース・テレビぴあで編集者として勤務。出産を機に専業主婦に。10年間のブランクを経て、大手生保会社の営業職に転身し、その後、業界紙の記者を経て、2007年に保険ジャーナリスト、ファイナンシャルプランナー(FP)として独立。認知症の両親の遠距離介護を自ら体験し、介護とその後の相続は一体で考えるべきと、13年に一般社団法人介護相続コンシェルジュ協会(R)を設立。新聞・雑誌での執筆やテレビのコメンテーター、また財団理事長として、講演、相談などで幅広く活躍している。 介護相続コンシェルジュ協会/http://www.ksc-egao.or.jp/

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