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高齢者だけでの世帯は要注意!

見落とされがちな「庭」のトラブル(4/4ページ)

鬼塚眞子鬼塚眞子

2019/07/22

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問題になったAさん宅の木は、以前、嫌なことが続いた時に厄落としの意味を込めて植えた思い出の木だった。そこには何を植えても枯れてしまっていたその場所だったのだが、願掛けの木は、すくすくと成長した。そして、その木はAさんの厄を吸い取ってくれたように、嫌なことはいつしか消え去っていた。

思い入れのある木ではあったが、確かにBさんの言うように今後、管理をするのも大変になる。「この木の役目も終わったかもしれない」と、Aさんは、その木を伐採することを決断した。

シルバー人材センターに問い合わせたものの、2カ月以上先まで予約がいっぱいということもあって、Aさんは、体調と相談しながら。のこぎりを使って伐採をした。当初は少し切っただけなのに、その後、何もできなくなるぐらい疲れ果てる作業だったが、何とか根元から伐採をすることができた。
 
そもそも隣家から伸びた枝木は誰の所有物なのか。
民法233条では下記のように規定されている(出典):ウィッキブックス)。

条文(竹木の枝の切除及び根の切取り)
第233条
1. 隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる。
2. 隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、その根を切り取ることができる。
ここから読み取れることは、境界線を越えて、枝が伸びた場合は枝を切除させる依頼を、根が伸びた場合は土地の所有者が根を切ってもいいということになるのではないか。
先のAさんの話に照らし合わせると、Bさんはあくまでも伸びた枝葉をAさんに「切ってくれ」と依頼することは可能だが、「根元から伐採しろ」とか「いつまでに伐採しろ」という指示・命令を下すことはできないことになる。
確かにBさんは迷惑がかかったかもしれない。しかし、どちらも高齢者でいつ誰の世話になるかもしれない。迷惑をかけることだってゼロではないかもしれない。

私見ながら、ご近所で、普段からつきあいのない関係なら、なおさら慎重に強く権利を主張しすぎるのではなく、お伺いの形で申し入れてもよかったのではないだろうか。

高齢者と庭木問題は、意外と見落とさされがちだが、近隣とのトラブルにもなる問題なので、注意をしておく必要がある。

 

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この記事を書いた人

一般社団法人介護相続コンシェルジュ協会理事長

アルバイトニュース・テレビぴあで編集者として勤務。出産を機に専業主婦に。10年間のブランクを経て、大手生保会社の営業職に転身し、その後、業界紙の記者を経て、2007年に保険ジャーナリスト、ファイナンシャルプランナー(FP)として独立。認知症の両親の遠距離介護を自ら体験し、介護とその後の相続は一体で考えるべきと、13年に一般社団法人介護相続コンシェルジュ協会(R)を設立。新聞・雑誌での執筆やテレビのコメンテーター、また財団理事長として、講演、相談などで幅広く活躍している。 介護相続コンシェルジュ協会/http://www.ksc-egao.or.jp/

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