税金はどれくらいかかる? 築古木造アパートの高値売却に成功するために知っておくべき5つのこと(4/4ページ)
牧野寿和
2017/07/04
<ポイント4>譲渡税はどれくらいかかるのか?
譲渡税は、次の計算式で計算します(長期譲渡所得の税率)。
(売買価格-取得価格-売却時の諸費用)×20.315%
では、更地で売却した場合の譲渡税を計算してみましょう。
・売買価格:1億500万円
・取得価格:525万円(*1)
・売却時の諸費用:2000万円(*2)
(1億500万円-525万円-2000万円)×20.315%=約1620万円
(*1)その土地の購入費とアパートの建設費です。相続で所有した物件でも、購入した時の価格がわかればその金額になります。わからない時は、譲渡価額の5%を取得費(概算取得費)として計算します。今回は、譲概算取得費で計算して525万円とします。
(*2)アパート解体費用を500万円、立退きの費用を1000万円、その他のかかる費用も含めて総額2000万円の費用とします。
譲渡税は、約1620万円とかなり高額になります。
なお、長期譲渡所得の税率の20.315%とは、譲渡(売却)した年の1月1日において所有期間が5年を超えるものをいいます。また、15.315%は所得税(復興特別所得税を含む)で5%は住民税です。
また、個人事業主の国民健康保険料は、前年所得に応じて決定しますので、売却をした翌年度の健康保険料は、その自治体で決められている最高納付額になることが予想されます。
<ポイント5>売却にかかる期間を知っておこう
人気のある地域であれば売却が決まるまで、そんなに時間はかからないでしょう。
むしろ更地で売却をする場合は、入居者の退去が完了するまでに短くても1〜2年、長いと5〜10年くらいはかかりますので、売却の準備に時間がかかるかもしれません。
地価の動向として、街中の鉄道の駅から徒歩10分くらいの土地の価格は、多少上下はあるものの、現在は少なからず上昇の傾向があります。とはいえ、いつまで続くのかはわかりません。
一方、街から離れたところの地価は、下落傾向が止まらず上昇する要因が見つからない状況です。
今後、地価の二極化が鮮明になっていくでしょう。これは、私の知り合いの複数の不動産会社の人に聞いても同様の見解です。
いまから売る準備を始めて早すぎることはないと言えます。
新築のアパートでも部屋が埋まらない時代です。このままアパート経営を続ければ、折角の資産が目減りしていってしまいます。
ただし、不動産売買の性格上、売り急ぐと足元を見られ安価な売却になりかねません。準備はできるだけ早く始めて、じっくり有利な商談を待つことも大事です。
(参考記事)
不動産会社に営業をかけて、バス便立地の築古物件でも優先的に客付けしてもらう3つの方法
この記事を書いた人
CFP、一級ファイナンシャル・プランニング技能士
1958年名古屋生まれ、大学卒業後、約20年間旅行会社に勤務。出張先のロサンゼルスでファイナンシャルプランナー(FP)に出会い、その業務に感銘を受け、自らもFP事務所を開業。 その後12年間。どの組織にも属さない「独立系」FPとして、誰でも必要なお金のことを気軽に考えてもらうため「人生を旅に例え、お金とも気楽に付き合う」を信念に、日本で唯一の「人生の添乗員(R)」と名乗り、個別相談業務を行なうとともにセミナー講師として活動している。 また、賃貸不動産の経営もしており、不動産経営や投資の相談にも数多くのアドバイスやプランニングをしている。