算多きは勝ち、算少なきは勝たず――「絶対に負けない体制を整える」 ⼤家業としての「戦略」を忘れるな(4/6ページ)
ウチコミ!タイムズ編集部
2020/11/04
ポイントは「得してもらう」「楽しんでもらう」
——ひとつひとつの出来事にとらわれていては、賃貸経営はうまくいかないですよね。
私は「戦略> 戦術> 戦闘」が⼤事だと思っています。
空室を埋めるためにDIYをしたり、⼊居者さんのクレームに⾃ら対応したりといった⼈もいますよね。しかし、私にとってこれらは「戦闘」でしかない。もちろん、DIYに明確な戦略があるならいいのですが、例えば規模が⼤きい物件でDIYばかりしていてもあまり意味がありません。
⼤家は事業家です。「空室を埋めた先に何をしたいのか」といった戦略を⽴てることが重要なんです。
——管理に関しても、管理会社に任せきりという⼤家さんもよく⾒受けられます。
私もほとんどの物件に管理会社を⼊れていますが、“パートナー”として仕事をしてくれる管理会社を選んでいます。たとえば、管理会社からいろいろアドバイスや意⾒をもらうことがありますよね。しかし、それが正しいとは限りません。その意⾒の根拠をきちんと答えられる⼈だけを私は信⽤するようにしています。これは管理会社に限ったことではなく、銀⾏も⼤⼯さんもそのほか関わる会社すべてに共通していえること。いかに彼らと⻑期的に仕事をしていけるかどうかが⼤切です。そして、お互いビジネスですから、「私とつき合った⽅が得するよ」といった感じでパートナーを組んでいます。みなさんにちょっとずつ得してもらう、楽しんでもらうことで、最終的には⾃分⾃⾝が得をすることになりますから。
——「得してもらう、楽しんでもらう」とは具体的にどのような⽅法ですか。たとえば、⼤⼯さんを例にとって教えてください。
以前、天井の⾼さが2メートルくらいで、窓がほとんどない部屋が2つある物件がありました。⽴地はいいのですが、とても住みたいと思えるような部屋ではありません。そこで、壁を壊して1部屋にして、⾞庫を作ることにしました。ここに住みたいと思うのは、ちょっとやんちゃな⾞を持つ若いカップルだと想定しました。⼤⼯さんもちょっとやんちゃなタイプだったので、「予算の範囲内で、あなたが住みたいと思うような部屋にしてください」とお願いしました。出来上がった部屋は基本的に⿊、シャンデリアをつけてくれていました。いかにも、という仕上がりです。⼤⼯さんは作業をするうちに楽しくなったようで、おそらくコストに合わない仕事をしてくれたと思います(笑)。予想を超えて、かなり⾼い賃料で⼊居はすぐに決まりました。
この記事を書いた人
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