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122年ぶりの民法大改正 その基本とポイント(4/6ページ)

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【改正民法第607条 2】

賃借物の修繕が必要である場合において、次に掲げるときは、賃借人は、その修繕をすることができる。
一 賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知し、又は賃貸人がその旨を知ったにもかかわらず、賃貸人が相当の期間内に必要な修繕をしないとき。
二 急迫の事情があるとき。

新設された修繕権だが、この解釈をめぐって賃貸人、賃借人の間でのトラブルの原因になる可能性もあると吉田弁護士はこう話す。

「修繕権があると賃借人が『修理できる権利がある』と自分でどんどんと直してしまったり、これまで木の枠だった窓をアルミサッシにするといった高価な建材を使うといったことが出てくる可能性もあります。一方、賃貸人の修繕の義務はなくなったわけではないので修繕の必要性、範囲と規模をめぐっての賃貸人、賃借人間で修繕費の払う支払いをめぐるトラブルが起きてくる可能性があります」

そこでこれを事前に防ぐための方法について次のように話す。

「修繕の規定は、任意法規といって、特約が優先するものなので、修繕については電球やガラス窓が割れたときの交換や、ふすまや障子の張替えといった小修繕に限定する特約をもうけるなどの必要が出てくると思います」

また、「修繕権と同様に『使用収益』についても賃借人保護の観点が加えられました。建物の一部の滅失についてもこれまで専有面積の40%が使えなくなるなど目に見えるかたちでの滅失に限り、家賃も40%減額請求できるとされていた。これに加え改正民法では目には見えない数値化できないエアコン、上下水道、電気・ガスなどが使えなくなった場合でも減額されるようになった。

たとえば、エアコンが1週間使えなかったら、いくらの使用収益の不能になるのかの判断は難しい。そこでエアコン、上下水道、電気・ガスなどそれぞれ具体的事例の免責期間や金額の明細をあらかじめ決め、特約にしておく必要があります」

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